Q. 夏の犬の散歩、暑い日は行かないほうがいい?【獣医師監修】

2026.06.02
Yさん
Yさん
プードル・2歳

朝でももう暑い日があり、夕方も地面が熱くて心配です。
散歩が大好きな子なので行かせてあげたい気持ちはありますが、熱中症や肉球のやけども怖く、「夏は散歩を休んだほうがいいのかな?」と思っています。
暑い日は、犬の散歩は行かないほうがいいのでしょうか?

監修した獣医師 監修した獣医師大西一輝先生 大西 一輝 先生 プロフィールを読む
東京大学動物医療センター内科研修課程修了。小動物診療や製薬会社での学術業務に携わり、国内外での学会発表・論文執筆も行う。現役で小動物診療にも携わりながら、犬猫の健康管理や飼育に関する知識をわかりやすく伝える活動に取り組んでいる。

A. 暑さが厳しい日は、無理にいつも通りの散歩をする必要はありません。短時間だけ外気に触れる、時間帯を工夫するなど、「散歩へ行くこと」よりも「安全に外を楽しむ方法」を優先しましょう。

夏の暑い日は、散歩を休むという選択も大切です。

犬にとって散歩は運動や気分転換になりますが、真夏の高温環境では、歩いているだけでも体温が上がりやすく、散歩そのものが体への負担になることもあります。

「毎日行かなきゃ」と無理をするより、その日の環境に合わせて、安全に外の空気を楽しめる方法を選びましょう。

なぜ夏の散歩は注意が必要?

夏の暑い日にトイプードルの散歩をする様子

犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることが苦手です。そのため、暑いときは「ハァハァ」と呼吸する"パンティング"によって熱を逃がしています。

ただ、日本の夏のように蒸し暑い環境ではうまく体温を下げられず、熱が体にこもってしまうことも少なくありません。

熱中症では、

  • ・激しいパンティング (呼吸が荒い)
  • ・大量のよだれ
  • ・ふらつき
  • ・嘔吐
  • ・反応が鈍い

などが見られ、重症化すると痙攣や意識障害につながることもあります。

また、犬は人よりも地面に近い位置で呼吸しているため、アスファルトからの熱の影響を受けやすい動物です。

特に小型犬では、夏の散歩時は人が感じる以上に強い暑さを受けていることがほとんどでしょう。

日本動物看護学会誌に掲載された調査では、犬の散歩場所の7割以上がアスファルト・コンクリートだったと報告されています。

夏場はこうした路面が高温になりやすく、犬は熱ストレスや肉球トラブルの影響を受けやすいと考えられています。

散歩してOK?判断の目安

夏は、「散歩へ行くべきか」と悩む日も多くなります。そんなときは、暑さだけでなく、地面の状態や愛犬の体調も含めて判断することが大切です。

以下に当てはまる場合は、散歩時間の変更や中止を検討しましょう。

夏の夜に柴犬の散歩をする

地面が熱い

犬は裸足で歩くため、私たちが思っている以上に路面の熱の影響を受けます。手の甲で地面を数秒触ってみて、熱いと感じるなら犬にも熱いと考えましょう。

特に夏場は、午前10時〜午後3時頃を中心にアスファルトが高温になります。気温が下がってきた夕方でも熱が残っていることがあり、肉球を傷める原因になることがあります。

真夏の散歩は、できるだけ日の出直後の早朝や、路面の熱が十分に冷めた夜がおすすめです。地域によって差はありますが、早朝なら午前5~6時頃が一つの目安になります。

湿度が高くムシムシしている

犬は湿度が高いと、「ハァハァ」と呼吸をしてもうまく熱を逃がしにくくなります。 

そのため、気温がそれほど高くなくても、蒸し暑い日は熱中症リスクが高まることがあります。湿気が強い日は、散歩時間を短くしたり、無理をせず休む判断も大切です。

愛犬が暑さに弱いタイプ

同じ気温でも、犬によって暑さの感じ方は大きく異なります。特に以下に当てはまる犬は、「他の犬が元気だから大丈夫」と考えず、慎重に様子を見てあげることが大切です。

・小型犬
地面との距離が近く、アスファルトからの照り返しの影響を受けやすいです。

・短頭種(フレンチブルドッグ、パグ、シーズーなど)
鼻の構造上、パンティング (口を開けた呼吸)による体温調節が苦手です。そのため、気温がそれほど高くなくても熱が体にこもりやすくなります。

・シニア犬
加齢に伴い体温調節機能が低下し、暑さへの適応力も弱くなります。

・肥満傾向の犬
体に熱がこもりやすく、運動時の負担も大きくなります。

・心臓病や呼吸器疾患の持病がある犬
暑さで呼吸が荒くなると心臓や肺への負担が増します。特に心不全や気管虚脱、慢性気管支炎などの持病がある犬は、軽い運動でも体調を崩すことがあります。

・腎臓病や糖尿病の持病がある犬
脱水による影響を受けやすく、体調悪化の原因になることがあります。暑い時期は脱水が起こりやすいので、散歩中もこまめな水分補給を意識しましょう。

・被毛が厚い犬種(シベリアンハスキー、サモエド、秋田犬などの北方犬種)
熱を逃がしにくく、日本の高温多湿な夏が苦手な傾向があります。

愛犬が暑さに弱いタイプ

 猛暑日や蒸し暑さが強い日は、無理に散歩へ行かない選択も大切です。

以下に当てはまる日は、時間変更や中止を検討しましょう。

  • ・気温30℃以上で蒸し暑さが強い
  • ・夜になっても地面の熱が残っている 
  • ・愛犬の呼吸が荒くなりやすい

特に、気温30℃前後以上、または蒸し暑さや路面熱が強い日は、熱中症リスクが高くなるため、無理をせず休む判断も十分選択肢になります。

散歩は毎日の義務ではありません。1日休んだからといって問題になることは少なく、日陰で外気に触れるだけでも気分転換になる子は多くいます。

夏の散歩、どう工夫する?

暑い時期は、散歩の「たくさん歩くこと」より「安全に外の刺激を感じさせてあげること」を考えることが大切です。

次に、夏の散歩で犬の飼い主がぜひ取り入れたい工夫について紹介します。

夏にペットカートで犬と散歩する様子

早朝・夜でも「地面」を確認する

環境省でも、暑い時間帯を避けた早朝や夜間の活動が推奨されています。

夏の散歩時間の目安は、朝なら6〜7時頃まで、夜なら20〜21時以降です。

ただし、時間帯はあくまで目安です。朝でも蒸し暑い日や、夜でも路面に熱が残っていることがあります。時間だけで安心せず、その日の暑さや愛犬の様子を確認しながら判断しましょう。

短時間・日陰中心でもOK

真夏は長時間歩く必要はありません。日陰を中心に短時間だけ外へ出たり、途中で休憩を入れたりしながら、無理のない範囲で気分転換を取り入れましょう。

水分補給は基本対策

散歩中はこまめな水分補給を心がけましょう。

一般的に30分~1時間程度の散歩であれば500ml前後のボトルが一つの目安になりますが、真夏や運動量が多い場合には足りなくなることもあります。特に暑さに弱い犬や大型犬では、予備の水を持参するくらいの余裕を持つと安心です。強いパンティングや口の乾き、飲みたがる様子が見られたら、早めに休憩と給水を行いましょう。

水分補給は一度にまとめて行うのではなく、散歩中にこまめに行うことが大切です。一度に大量の水を飲むと、むせたり、胃腸に負担がかかったりすることがあるため、少量ずつ様子を見ながら飲ませてくださいね。

冷却グッズは「補助」と考える

クールウェアや冷却グッズを使う家庭もあります。ただし、冷却グッズだけで熱中症予防が十分とは言えず、使用条件によって効果が限定的です。

まず優先したいのは、時間帯や地面温度、水分補給、日陰の有無などの環境調整です。

ペットカートを活用する

暑さが厳しい日は、カートで移動しながら、涼しい場所だけ短時間歩かせることで、熱による負担を減らす方法もあります。

特に小型犬やシニア犬では、体力消耗や路面熱の影響を減らしながら、外の刺激や気分転換を取り入れやすくなります。

なお、ペットカートを使用する場合も、カート内に熱がこもることがあるので、通気性や日差し、カート内温度には十分注意し、こまめに愛犬の様子を確認しましょう。

ひとことまとめ

夏の散歩は、「毎日行くこと」より「安全に外の時間を楽しめるか」が大切です。暑さや路面、愛犬の様子に合わせて、無理のない方法を選びましょう。

 

参考にした資料
・日本動物看護学会誌「イヌの散歩時における飼養者およびイヌの熱中症予防対策に関するアンケート調査
・環境省「ペットの熱中症と対策

記事を書いた人
PETTENA編集部
PETTENA編集部

犬との暮らしやおでかけ、日常ケアに関する情報を、飼い主目線でわかりやすく発信。獣医師監修のもと、信頼できる情報と実生活に役立つ視点を大切に記事を制作しています。


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