犬の血液型は何型?性格と関係ある?調べ方・輸血時の注意点を解説|PETTENA
犬の血液型
「犬にも血液型があるって知っていますか?」人間のようにA型やB型があるわけではありませんが、犬にも13種類以上の血液型があり、輸血の際にはとても重要です。

「血液型で性格は変わるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、犬の血液型の種類や性格との関係、調べ方、そして輸血時の注意点についてわかりやすく解説します!

犬の血液型とは?人間との違い

実は、犬の血液型は人間のABO式とは全く別物です。今日は飼い主さん必見の犬の血液型について、分かりやすくお伝えします。

犬の血液型はDEA式で分類される

犬の血液型は「DEA」(Dog Erythrocyte Antigen:犬赤血球抗原)と呼ばれるシステムで分類されます。人間のABO式とは異なり、現在では13種類以上の血液型が確認されているんですよ。

主な犬の血液型グループ
DEA1.1
DEA1.2
DEA3
DEA4
DEA5
DEA7
...など計13種類以上

中でもDEA1.1が特に重要視されていて、犬の血液型検査ではまずこのタイプを調べます。
「DEA1.1陽性」か「陰性」かで、輸血時の適合性が大きく変わってくるからです。

人間の血液型と何が違う?5つのポイント


分類システムが全く異なる
  • 人間:ABO式(A/B/AB/O型)+Rh式
  • 犬:DEA式(DEA1.1、1.2、3など)

血液型の数が圧倒的に多い
  • 人間:主要なのはABO+Rhの組み合わせ
  • 犬:13種類以上の組み合わせが可能

自然抗体の有無
  • 人間:ABO式では生まれつき抗体を持つ(A型なら抗B抗体)
  • 犬:自然抗体を持たない(初回輸血時の反応が少ない)

「万能供血者」の考え方
  • 人間:O型Rh-が万能供血者
  • 犬:DEA1.1陰性が比較的安全な供血者

血液型判定の難易度
  • 人間:簡単な検査で判定可能
  • 犬:専門的な検査が必要(動物病院で可能)

「犬にも血液型があるなんて!」と驚かれた方も多いでしょう。実は猫や牛など他の動物にもそれぞれ独自の血液型システムがあるんです。
犬の血液検査

愛犬の血液型を知るメリット

血液型を知っておくことで、いざという時に愛犬を守れる可能性がグンと高まるんです!ここでは、愛犬の血液型を知るメリット」についてお伝えします。

メリット1:緊急時の輸血対応がスムーズに!命のリレーをスピードアップ


「交通事故で大量出血!」「手術中に輸血が必要に!」そんな緊急事態に直面した時、愛犬の血液型を事前に知っているかどうかが命運を分けます。

なぜ血液型の事前把握が重要なの?
  • 時間との勝負:血液型検査には通常30分~1時間かかりますが、重度の出血の場合、この時間が命取りに
  • 血液確保の難しさ:犬用血液バンクは人間ほど充実しておらず、適合血液を探すのに時間がかかる
  • ドナー探し:適合する献血犬を緊急で探す場合、血液型情報があるとスムーズ

「うちの子はDEA1.1陰性です」とすぐに伝えられれば、病院側も迅速に対応できます。特にDEA1.1陰性の血液は需要が高く、事前に分かっていると有利です。

メリット2:副反応リスクを最小限に~2回目以降の輸血が安全に~


「1回目の輸血は問題なかったのに、2回目で急変…」こんな悲劇を防ぐためにも、血液型の知識は不可欠です。

犬の輸血の特徴
  • 初回輸血:自然抗体が少ないため比較的反応が出にくい
  • 2回目以降:前回の輸血で抗体が作られている可能性があり、不適合反応リスクが上昇

愛犬の血液型を把握し、適合するドナーを選ぶことで、発熱、蕁麻疹、溶血反応など危険な副反応を防げます。

「うちの子はDEA1.2陽性で、前回はDEA1.1陰性の血液を輸血しました」といった情報があると、獣医師もより安全な輸血計画を立てられます。

メリット3:かかりつけ病院選びの重要な判断材料に


実は、動物病院によって輸血対応能力には大きな差があります。愛犬の血液型を知っていると、より適切な病院選びができるんです。

血液型を知っていると見極められる病院の特徴
  • 血液バンク:犬用血液を常備しているか
  • 検査体制:緊急時に迅速な血液型判定が可能か
  • ドナーネットワーク:献血犬との連携があるか
  • 輸血実績:どのくらいの頻度で輸血を行っているか

「愛犬がDEA1.1陰性の場合」→「血液確保が難しいので、輸血対応可能な総合病院をかかりつけに」
「DEA7陽性などレアタイプの場合」→「大学病院など高度医療機関との連携がある病院を」

このように、血液型に応じて最適な医療環境を選べるのは大きなメリットです。
犬の血液型を知る方法

犬の血液型の調べ方と判定方法

専門的な血液検査


犬の血液型は、主に以下の方法で判定されます:

イムノクロマト法

最も手軽に血液型を調べられる方法が「イムノクロマト法」です。

 

専用の検査キットを使用し、犬の血液に含まれるDEA1.1という抗原の有無を調べます。この検査は迅速で、約10~15分ほどで結果がわかるため、動物病院でも広く採用されています。

 

ただし、判定できるのはDEA1.1の陽性・陰性のみで、他の血液型を詳しく調べることはできません。


フローサイトメトリー法

より詳細な血液型の判定が必要な場合は、フローサイトメトリー法が用いられます。

 

この方法では、専用の機器を使って犬の血液に含まれる複数の抗原を同時に解析し、より正確な血液型を特定することができます。

 

大学病院や専門機関で実施されることが多く、輸血ドナーの登録や特定の治療を受ける際に行われることがあります。


溶血試験
輸血が必要になった際には、ドナーとレシピエントの血液の適合性を確認するために「溶血試験」が行われます。

これは、事前に血液を混ぜて反応を確認し、溶血が起こらないかをチェックする検査です。

適合しない血液を輸血してしまうと、重篤な副反応を引き起こす可能性があるため、非常に重要な検査となります。

「うちの子はDEA1.1陰性でした!」という結果は、このような検査で判定されているんです。

どこで検査できる?

かかりつけの動物病院
まず最初に相談すべきなのが、普段通っているかかりつけの動物病院です。

最近では、基本的な血液型検査が可能な病院も増えており、検査キットを常備しているところもあります。

簡易検査であれば、その日のうちに結果がわかるケースも多いため、スムーズに血液型を把握できるでしょう。ただし、すべての病院で血液型検査を実施しているわけではないため、事前に確認しておくことが大切です。

大学病院・専門機関

より詳細な血液型判定が必要な場合は、大学病院や専門の検査機関を利用するのがおすすめです。

犬の血液型は13種類以上あるとされており、一般の動物病院ではすべてを判別することが難しいこともあります。

しかし、大学病院や専門機関では、輸血を前提とした精密な血液検査を受けることができるため、より正確な結果を知りたい場合には適した選択肢です。

献血ドナー登録時

もし愛犬を献血ドナーとして登録する予定があるなら、その際に無料で血液型を調べてもらえる場合があります。

献血ドナー制度を導入している血液バンクや提携病院では、事前に血液型を把握することが重要なため、登録時に検査を行うことが一般的です。

愛犬が健康で基準を満たしていれば、輸血を必要とする他の犬の命を助けることができる上、血液型を把握するメリットも得られます。

自宅検査キット

最近では、自宅で採血し、郵送することで血液型を判定できる検査キットも登場しています。動物病院に行かずに済むため手軽な方法ですが、病院での検査に比べると精度がやや劣る可能性がある点には注意が必要です。

また、結果が出るまでに時間がかかることが多く、緊急時には向いていません。あくまでも補助的な手段として利用するのが良いでしょう。

「まずはかかりつけ医に相談」が一番の近道です。検査に対応していない場合でも、適切な施設を紹介してくれますよ。

検査費用の目安

基本検査(DEA1.1陽性/陰性判定)
5,000円~10,000円程度

詳細検査(複数項目の血液型判定)
15,000円~30,000円程度

輸血前のクロスマッチテスト
3,000円~10,000円程度

※費用は施設や地域によって異なります。必ず事前に確認しましょう。

「高いと思うか、安いと思うかは考え方次第。愛犬の命を守る保険と考えれば…」とある飼い主さん。確かに、緊急時に迅速な対応ができることを考えれば、決して高い投資ではないかもしれません。

検査に必要な時間


即日判定可能な検査
  • イムノクロマト法:10~30分
  • 簡易キット使用:15分~1時間

送検が必要な検査
  • 1~3営業日(施設により異なる)

「待ち時間が心配」という方には、事前の予約がおすすめ。混雑状況によっては結果が出るまでに時間がかかることもあります。

血液型と性格は関係する?

「A型の人は几帳面」「B型はマイペース」なんて、人間の血液型と性格の話題はよく耳にしますよね。では、愛犬の血液型と性格には何か関係があるのでしょうか?気になる疑問を科学的な見地と飼い主さんの声の両方から検証してみました。

科学的には「関係なし」が結論

獣医学的な観点から言うと、犬の血液型と性格に関連性は認められていません。これまでに行われた複数の研究でも、血液型が犬の性格や行動に影響を与えるという証拠は見つかっていないんです。

専門家の見解
日本獣医師会:「血液型と性格の関連を支持する科学的データは存在しない」

麻布大学獣医学部の研究:「DEA1.1陽性/陰性で性格傾向に有意差は認められず」

アメリカ獣医師協会(AVMA):「血液型性格判断は迷信に過ぎない」

「でも、うちのDEA1.1陽性の子は活発で…」という体験談も聞きますが、これはあくまで偶然の一致。血液型ではなく、品種特性や育った環境、個体差が性格に影響を与えていると考えられます。

Kaneko(2013)は、犬の血液型と4つの攻撃タイプとの関係について研究しました。しかし、この研究では血液型と性格との間に直接的な因果関係が存在するとは明言されておらず、血液型に基づく犬の行動におけるいくつかの特徴が探求されています。これにより、血液型が特定の行動パターンと関連している可能性があるものの、その性格への影響は間接的または限られたものであることが示唆されています。
参考文献:こちら

それでも気になる!飼い主さんたちの体験談

科学的には否定されていても、実際に飼い主さんたちが感じている「傾向」があるのも事実。SNSや愛犬家コミュニティでよく見かける声をいくつかご紹介しましょう。

DEA1.1陽性の子を持つ飼い主さんの声

「遊び好きでエネルギッシュな子が多い気がする」

「人懐っこくて社交的」

「学習速度が早い印象」

DEA1.1陰性の子を持つ飼い主さんの声

「落ち着いていて穏やか」

「慎重派で新しいものに慣れるのに時間がかかる」

「一つのものに集中する傾向がある」

面白いことに、人間の血液型性格判断と似たような印象を持たれているようです。でもこれらはあくまでも主観的な感想で、統計的な裏付けはありませんのでご注意を!

なぜ「血液型と性格」説は広まるのか?

科学的根拠がないのに、このような話が広まる背景にはいくつかの理由があります。

  • 確認バイアス:自分の思い込みに合う情報だけを無意識に集めてしまう
  • 偶然の一致:たまたま血液型と性格が一致したケースが印象に残りやすい
  • 品種特性の誤解:特定の血液型が多い品種の特徴を、血液型のせいだと勘違い
  • 人間の投影:人間の血液型性格判断を犬にも当てはめてしまう

「柴犬は勇敢」「ゴールデンレトリバーは友好的」といった品種による性格傾向は事実ですが、これは血液型とは全く関係がありません。
勇敢な柴犬

愛犬の性格を決める本当の要因

では、犬の性格は何で決まるのでしょうか?主要な要素をいくつかご紹介します。

犬種の特性
  • 牧羊犬種:高い学習能力と活動性
  • 狩猟犬種:強い追跡本能
  • 護衛犬種:警戒心が強め

社会化期の経験
  • 生後3~12週間の過ごし方が重要
  • 様々な人・動物・環境に触れた経験
  • 適切なしつけを受けたかどうか

個体差
  • 人間と同じように一卵性双生児でも性格が異なる
  • 兄弟犬でも全く違う性格になることは珍しくない

飼い主さんとの関係性
  • 信頼関係の築き方
  • 日常的なコミュニケーションの質
  • ストレスを与えていないか

「血液型で性格が決まる」と考えるより、これらの要素を理解して愛犬と向き合う方が、ずっと有意義ですよね。

愛犬の個性を理解する方法

血液型にこだわるよりも、もっと確実な方法で愛犬の性格を理解しましょう。

愛犬の性格を知る3つの方法
  • 行動観察:どんな時に喜ぶ?怖がる?じっくり観察
  • 性格テスト:ボールの反応、見知らぬ人への対応などで判定
  • 専門家のアドバイス:トレーナーや行動学の専門家に相談

「血液型が△△だから××な性格」と決めつけるのではなく、その子の唯一無二の個性として受け止めてあげることが、本当の愛情ではないでしょうか。

輸血の必要性とリスク

実は、人間と同じように犬も様々な状況で輸血を必要とすることがあります。ここでは、愛犬の輸血について知っておくべき重要な知識を、具体的なケースを交えてお伝えします。

犬が輸血を必要とする5つの主なケース

  • 事故や外傷による大量出血
  • 手術中の出血
  • 血液疾患
  • 中毒症状
  • 慢性疾患

「うちの子は元気だから大丈夫」と思わず、どんな犬でも輸血が必要になる可能性があることを頭の片隅に置いておきましょう。

血液型の違いによる拒絶反応のリスク

初回輸血時のリスク
犬は人間と違い、初回輸血では比較的副反応が少ないと言われています。しかし、全くリスクがないわけではありません。

起こり得る反応:
  • 軽度の発熱
  • 蕁麻疹
  • 一時的な呼吸促迫

2回目以降の輸血で注意すべきこと
一度輸血を受けた犬は、体内に抗体が作られるため、2回目以降の輸血ではより深刻な反応が起こる可能性が高まります。



危険な副反応:
  • 急性溶血反応
  • 発熱
  • 血圧低下
  • 呼吸困難
  • 最悪の場合、死に至ることも

「前回の輸血から4日~2週間後」が最も危険とされ、この時期に不適合な血液を輸血すると重篤な反応を起こしやすくなります。

輸血関連急性肺障害(TRALI)
稀ですが、輸血後に急性の呼吸困難を引き起こす重篤な症状。早期発見・治療が重要です。

実際にあった輸血成功事例

事例1:交通事故からの奇跡の回復(柴犬・5歳)
【経緯】
散歩中に自転車とはねられ、大量出血。ヘモグロビン値が危険水域まで低下。
【治療】
DEA1.1陰性の血液を緊急輸血。2単位の輸血後、見事回復。
【ポイント】
・飼い主が事前に血液型を把握していた
・かかりつけ医がすぐに適合血液を手配

事例2:免疫介在性溶血性貧血との闘い(トイプードル・3歳)
【経緯】
突然元気がなくなり、歯茎が真っ白に。緊急搬送でIMHAと診断。
【治療】
3週間にわたる計4回の輸血と免疫抑制療法。DEA7陽性という珍しい血液型だったため、ドナー探しに苦労。
【ポイント】
・大学病院との連携で適合血液を確保
・輸血ごとに慎重な適合試験を実施

「輸血は最後の手段」と考えられがちですが、適切なタイミングで行えば、多くの命を救える治療法です。

日本の犬の血液バンク事情

日本では、犬の命を救うための血液バンク活動が行われています。ここではは、日本の犬の血液バンクの現状と課題、海外との比較について詳しくご紹介します。

日本における犬の献血システムの現状

主な血液供給源
  • 大学病院関連のバンク
  • 民間動物病院のネットワーク
  • 飼い主ボランティアの登録制度

献血の流れ


ドナー候補の選定
  • 体重20kg以上の健康な犬
  • 1-8歳程度
  • 定期予防接種済み
  • 特定の疾患の既往歴がない

事前健康診断
  • 血液検査
  • 身体検査
  • 血液型判定(DEA1.1陽性/陰性)

採血
  • 約1-2時間の滞在時間
  • 1回あたり約200mlを採血(体重に応じて調整)
  • 3-6ヶ月に1回のペースで実施

血液の処理・保存
  • 全血のまま、または血漿と赤血球に分離
  • 赤血球は2-6℃で最大4週間保存
  • 血漿は凍結で1年間保存可能

深刻な血液不足!日本の課題

  • 慢性的な供給不足:需要に対して供給が追いつかない
  • 保存期間の短さ:赤血球は最大4週間しか保存できない
  • 地域格差:都市部に偏り、地方では入手困難
  • 認知度の低さ:飼い主の献血への理解が不足

「手術の日程を血液の確保状況で調整しなければならない」といったケースも少なくありません。特に、DEA1.1陰性の血液は常に不足気味です。

海外と日本の比較


欧米の状況
  • 大規模な商業血液バンク:動物用血液バンクが事業化
  • 専門の供血犬:施設で飼育されているケースも
  • 高度な血液分画技術:成分献血が一般的
  • 広範なネットワーク:全国規模での血液流通

日本の特徴
  • 大学病院中心:研究機関が主体となって運営
  • 飼い主のボランティア依存:商業化が進んでいない
  • 保存技術の遅れ:成分保存が限定的
  • 法律の未整備:動物の血液バンクに関する明確な規制がない

アメリカでは犬猫の血液バンクが産業として成立しているのに対し、日本ではまだ慈善的な要素が強いというのが現状です。

血液不足を解消するために私たちにできること


愛犬を献血ドナーに登録
  • 条件を満たす健康な犬は、命の救世主になれます
  • かかりつけ医に相談してみましょう

血液バンクを支援
  • 運営団体への寄付
  • SNSで情報拡散
  • 地域の獣医師会の取り組みを応援

正しい知識を広める
  • 犬の輸血についての理解を深める
  • 血液型検査の重要性を周知

まとめ:愛犬の命を守るために

犬の血液型は人間とは異なるDEA式で分類され、日本では13種類以上が確認されています。血液型と性格の関連性は科学的に証明されていませんが、輸血時の適合性を判断する重要な情報です。
愛犬の健康を守るため、かかりつけの動物病院で血液型検査を受け、結果をしっかり記録しておきましょう。いざという時のために、輸血対応可能な病院も事前に確認しておくと安心です。
PETTENA編集部

PETTENA編集部は、ペットとその飼い主がより良い生活を送れるよう、専門的な知識に基づいた信頼性のある情報を提供するチームです。特に、ペットカートを中心に、安全で楽しいお出かけをサポートするコンテンツをお届けしています。