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犬の腎臓病は治るの?ステージ別の症状と治療法をわかりやすく解説|PETTENA
最近、お水をよく飲むな…そんな何気ない変化が、実は腎臓病のサインかもしれません。この記事では、愛犬の健康を守るために知っておきたい犬の腎臓病について、わかりやすく解説します。治療法や予防法はもちろん、飼い主さんが自宅でできるケアと食事の工夫もご紹介します。
犬の腎臓病とは?
腎臓の働き
愛犬の腎臓は、人間と同じように体の老廃物を尿として排出するだけでなく、実にさまざまな重要な働きを担っています。
具体的には、血液をろ過して余分な水分や塩分を調整したり、赤血球を作るホルモンを分泌したり、血圧をコントロールしたりと、まさに生命維持の要と言える器官です。
特に注目すべきは、腎臓が一度ダメージを受けると回復が難しいという特徴です。人間の医療でも腎移植や人工透析が必要になることがありますが、犬の場合はそれらの選択肢が限られているため、早期発見・早期治療が何よりも大切になってきます。
急性腎臓病と慢性腎臓病の違いと特徴
犬の腎臓病は大きく分けて急性腎臓病と慢性腎臓病の2種類があります。急性腎臓病は、毒物の摂取や感染症などが原因で急激に腎機能が低下する状態で、適切な治療を受ければ回復する可能性があります。一方、慢性腎臓病は数ヶ月から数年かけてゆっくり進行する病気で、残念ながら完全に治すことはできません。
うちの子、最近水を飲む量が増えた気がするとか、おしっこの回数が多くなったかも…など些細な変化は、慢性腎臓病の初期サインかもしれません。特に7歳以上のシニア犬では、定期的な健康診断が早期発見の鍵になります。
慢性腎臓病は完治はしないけどコントロールできる
慢性腎臓病と診断されたら、もう治らないの?と不安になる飼い主さんも多いでしょう。確かに、一度失われた腎機能を完全に回復させることはできませんが、適切な食事療法や投薬、生活管理によって進行を遅らせ、愛犬の生活の質を保つことは十分可能です。
実際に、早期に発見して適切なケアを始めた犬たちは、診断後も何年も元気に過ごしている例がたくさんあります。大切なのは病気と向き合う覚悟ではなく、愛犬と一緒に歩んでいく心構えです。
犬の腎臓病の症状とステージ分類

初期症状:多飲多尿・体重減少
慢性腎臓病のステージ1~2では、目立った症状が現れないことが多いのですが、よく観察するといつもより水を飲む量が増えたり、おしっこの回数が多くなったりする変化に気付くことがあります。腎臓の機能が少しずつ低下すると、尿を濃縮する力が弱まるため、薄い尿を大量にするようになるのです。
年のせいかな?と見過ごしがちですが、この段階で気づいてあげられれば、食事療法や適切なケアで進行をかなり遅らせることができます。
特に7歳を過ぎたシニア犬の場合、水を飲む量やトイレの回数をメモしておくだけでも、早期発見に役立つでしょう。体重の微妙な減少も、定期的に体重測定をしていないと気付きにくいポイントです。
中期症状:食欲不振・嘔吐
ステージ3になると、血液検査では明らかな数値の異常が現れ、愛犬の様子にもはっきりとした変化が見られるようになります。
老廃物が体に溜まり始めるため、「ごはんを残すことが増えた」「吐く回数が多くなった」「毛づやが悪くなった」といった症状が現れます。
この時期になると、多くの飼い主さんが何かおかしいと気づき、動物病院を受診するケースが多くなります。獣医師と相談しながら、リンやタンパク質を調整した腎臓病用療法食への切り替えや、必要に応じて点滴や投薬治療を始めるタイミングです。
もう治らないのかも…と悲観的になる必要はありません。適切な管理をすれば、この段階からでも愛犬との充実した日々を続けられる場合が多いのです。
末期症状:痙攣・昏睡
ステージ4では、腎機能が大幅に低下し、尿毒症の症状が現れ始めます。
「ぐったりしている」「けいれんを起こす」「呼びかけに反応がない」といった重篤な状態になる前に、獣医師と緊密に連携を取りながら、愛犬にとって最善の選択を考えていく必要があります。
末期のケアでは、生活の質をどう維持するかが最も重要なポイントになります。自宅でできる皮下点滴や痛みの管理、食べやすい食事の提供など、愛犬が少しでも快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
もう何もしてあげられないと感じるかもしれませんが、優しく撫でてあげるだけでも、愛犬にとっては大きな安心感になります。
ステージ1〜4の目安と治療の違い
ステージ | 状態の目安 | 主な症状 | 治療・ケア内容 |
1 | 異常なし | 無症状 | 検査実施、療法食検討 |
2 | クレアチニン1.4-2.0 | 多飲多尿、食欲微減 | 療法食開始、定期検査 |
3 | クレアチニン2.1-5.0 | 食欲不振・嘔吐・痩せ | 内服薬、皮下点滴 |
4 | クレアチニン5.0以上 | 重度脱水・無気力 | 頻回通院/入院、緩和ケア |
犬の腎臓病の原因
加齢や遺伝
犬の腎臓病で最も多い原因は、残念ながら加齢です。7歳を過ぎたシニア犬では、人間と同じように腎機能が少しずつ低下していきます。
これは自然な老化現象の一部で完全に防ぐことはできませんが、適切なケアで進行を遅らせることは可能です。特に小型犬は10歳前後、大型犬では7歳頃から腎臓の健康状態に気を配り始めると良いでしょう。
また、遺伝的素因も無視できない要因です。ご家族に腎臓病になった犬がいる場合や、遺伝的に腎臓が弱い犬種を飼っている場合は、若いうちから定期的な健康診断を受けることが大切です。
親犬が腎臓病だったワンコでも、必要以上に心配する必要はありませんが、知識として持っておくことで、早期発見につなげることができます。
他の病気や投薬の影響
意外と見落としがちなのが、他の病気が原因で腎臓に負担がかかるケースです。例えば、歯周病の細菌が血流に乗って腎臓に到達したり、心臓病による血行不良が腎機能を低下させたりすることがあります。
また、糖尿病や自己免疫疾患など、一見関係ないように思える病気が腎臓にダメージを与えることも少なくありません。
投薬の影響も見過ごせないポイントです。特に長期間にわたる消炎鎮痛剤の使用や、特定の抗生物質などが腎臓に負担をかける場合があります。もちろん必要な治療を避けるべきではありませんが、持病で長期投薬が必要な場合は、かかりつけの獣医師と定期的に腎機能をチェックするようにしましょう。
特に注意が必要な犬種
すべての犬種に腎臓病のリスクはありますが、特にシーズー、コッカースパニエル、サモエド、ドーベルマンなどは遺伝的に腎臓病を発症しやすいと言われています。
また、柴犬では若年性の腎臓病が見られることがあり、2~5歳という若い年齢で発症するケースもあります。
該当犬種だから必ずなるというわけではありませんが、該当する犬種を飼っている場合は、以下のような予防策がおすすめです。
・1歳を過ぎたら年1回の血液検査
・常に新鮮な水が飲める環境を整える
・塩分の多いおやつを控える
・歯周病予防を徹底する
・常に新鮮な水が飲める環境を整える
・塩分の多いおやつを控える
・歯周病予防を徹底する
特にシニア期に入ったら、腎臓サポートを謳ったシニア用フードへの切り替えを検討するのも良いでしょう。愛犬の犬種や年齢に合わせたケアを考えてあげることが、健康寿命を延ばす秘訣です。
犬の腎臓病の診断方法と早期発見のコツ
動物病院で行う三つの検査
獣医師が腎臓病を診断する時、主に血液検査、尿検査、超音波検査の3つを組み合わせて総合的に判断します。
血液検査ではBUN(尿素窒素)やクレアチニンといった数値から腎機能を評価し、尿検査では尿比重やタンパク尿の有無を調べます。特に「SDMA」という比較的新しい検査項目は、従来の検査より早期に腎機能の低下を発見できると注目されています。超音波検査では、腎臓の形や大きさ、腫瘍や結石の有無などを確認できます。
検査費用が気になる飼い主さんは、早期発見できれば治療費の軽減にもつながります。7歳を過ぎたら、健康診断の一環としてこれらの検査を受けるのがおすすめです。
飼い主ができるセルフチェック
病院に行く前に、自宅で愛犬の様子を観察できるポイントをご紹介します。
まずは水を飲む量、最近明らかに増えていませんか?次におしっこの量と回数、薄い尿をたくさんするようになっていないかチェックしましょう。
3つ目は食欲、特にタンパク質を多く含むフードを嫌がるようであれば要注意です。4つ目は口臭、腎臓病が進むとアンモニアのような独特の臭いがすることがあります。最後に体重の変化、特に筋肉量の減少がないか確認しましょう。
これらの変化に気づいたら、スマホで動画やメモを取っておくと、獣医師に症状を伝える時に役立ちます。
犬の腎臓病の治療法と費用
点滴、投薬、療法食の組み合わせ
腎臓病治療の基本は点滴、投薬、療法食の組み合わせです。
点滴は脱水を防ぎ、老廃物を排出しやすくする効果があります。獣医師の指導のもと、多くの飼い主さんが自宅で安全に行っています。コツをつかめば、意外と簡単にできるようになりますよ。投薬治療では、リン吸着剤や血圧降下剤、吐き気止めなど、症状に合わせた薬が処方されます。
特に療法食は、腎臓に負担をかけないようタンパク質とリンを調整した特別なフードで、進行を遅らせる重要な役割を果たします。いつものフードを食べてくれない時に、温めたり、ふりかけを少量加えるなど、工夫次第で食べてくれるはずです。
実際の治療費例
ステージ | 主な内容 | 費用目安 | 年間目安 |
1-2 | ・血液検査 ・尿検査 ・療法食 |
・5,000〜8,000円(血液検査) ・2,000〜3,000円(尿検査) ・3,000〜5,000円/月(療法食) |
約5〜8万円 |
3 | ・2〜3ヶ月ごと検査 ・皮下点滴セット ・投薬 |
・7,000〜10,000円/回(定期検査) ・2,000〜3,000円/月(点滴) ・5,000〜8,000円/月(投薬) |
約15〜25万円 |
4 | ・頻回な通院 ・入院 ・終末期ケア |
・10,000〜15,000円/月(通院) ・30,000〜50,000円/週(入院) ・20,000〜30,000円/月(終末期ケア) |
約30〜50万円 |
食事・サプリメントの工夫
療法食の種類と選び方
腎臓病用療法食には、主にドライタイプ、ウェットタイプ、半生タイプの3種類があります。
ドライタイプは保存がきいて経済的ですが、水分補給も兼ねたい場合はウェットタイプがおすすめです。特に食欲が落ちている時は、香りが立つウェットフードの方が食いつきが良い場合が多いです。
療法食のメーカーは、かかりつけの獣医師と相談しながら、愛犬の好みや病状に合わせて選ぶのが良いです。主要メーカーではロイヤルカナン、ヒルズ、ピュリナなどが腎臓サポートフードをラインナップしています。最初は少量パックを試して、愛犬の反応を見るのも良い方法です。
療法食は腎臓病のステージに合わせて選ぶことが大切なので、必ず獣医師の指導のもとで切り替えましょう。
食べてくれない時の対処法
せっかく高い療法食を買ったのに、一口も食べてくれない…というのは本当につらいですよね。でも大丈夫、試せる方法はまだたくさんあります。
まずは人肌程度に温めることで香りが立ち、食欲を刺激できます。電子レンジで10秒ほど温めるだけで、食いつきが変わることも少なくありません。
他にも「ふりかけを少量トッピング」「いつものフードと少しずつ混ぜる」「手から直接与えてみる」などの方法があります。特にシニア犬は嗅覚が衰えている場合があるので、香りづけとして鰹節やチーズパウダーを少量使うのも効果的です。
どうしても食べない時は、無理強いせずに2-3時間置いてから再度挑戦してみましょう。愛犬のペースに合わせて、焦らずに試していくことが大切です。
腎臓サポートにおすすめのサプリ
腎臓病のサプリメントとして注目されているのがオメガ3脂肪酸、コエンザイムQ10、L-カルニチンなどです。特にEPA/DHAを含むオメガ3脂肪酸は、炎症を抑える働きが期待できます。
サプリメントは確かに劇的な変化は期待できませんが、適切に使えば生活の質の向上に役立ちます。ただし、サプリだけで腎臓病が治るわけではないので、あくまで補助的なものと考えるのが良いでしょう。
人用のサプリを与えるのは危険ですので、必ず犬用の製品を選んでくださいね。
自宅でできるケアと生活の工夫
愛犬の負担を減らす生活環境の整え方
腎臓病の犬にとって、何気ない日常動作でも体に負担がかかっていることがあります。
まず見直したいのが食器の高さです。首を下げる姿勢は腎臓への血流を悪くするため、台を使って食器の位置を愛犬の胸の高さに調整しましょう。100均の調味料スタンドや専用のフードスタンドが便利です。
水飲み場も重要なポイントです。家中のあちこちに水飲みボウルを設置し、どこにいてもすぐ水が飲める環境を作ってあげましょう。特に階段の上り下りが大変なシニア犬には、2階と1階の両方に水場があると理想的です。
寝床は柔らかすぎず硬すぎない素材を選び、冷えやすいお腹部分に毛布を敷いてあげると安心です。
水分摂取を促す便利グッズ
腎臓病の犬にとって、十分な水分補給は何よりも大切です。でも、水を飲む量が減ってきたと感じることもありますよね。そんな時は、以下のような工夫を試してみてください。
・流水式の給水器:動く水に興味を示す犬が多い
・氷:遊び感覚で舐めながら水分補給
・スープ:無塩の鶏ガラスープや野菜スープ
・ウェットフード:ドライフードにお湯をかけるだけでも
・氷:遊び感覚で舐めながら水分補給
・スープ:無塩の鶏ガラスープや野菜スープ
・ウェットフード:ドライフードにお湯をかけるだけでも
特に便利なのがペット用ウォーターサーバーです。フィルター付きで常に新鮮な水が飲める上、流水音が犬の興味を引きます。また、自動給水器なら外出時も安心です。
腎臓病を予防する方法
定期健診・食生活の見直し
腎臓に優しい食生活の基本は適切な水分摂取と良質なタンパク質です。ドライフードだけを与えている場合は、時々ウェットフードを混ぜたり、お湯でふやかしたりして水分量を増やしましょう。塩分の多い人間の食べ物は控え、おやつも犬用の低塩タイプを選ぶのがポイントです。
特に注意したいのがリンの摂取量です。加工食品や乳製品に多く含まれるため、与えすぎに注意が必要です。若いうちから腎臓サポートをうたったプレミアムフードを選ぶのも良い方法です。ただし、健康な犬に療法食を与える必要はないので、バランスの取れた一般食で十分です。
予防チェックリスト
・新鮮な水をいつでも飲める環境を作る
・歯磨きを週3回以上行い、歯周病を予防
・適度な運動で代謝を促進
・夏場はクーラーで室温管理(26℃前後)
・ストレスを減らすゆったりした生活環境
・定期的な体重測定で変化をチェック
・尿の色や量を日常的に観察
・タバコの煙を避ける(受動喫煙に注意)
・歯磨きを週3回以上行い、歯周病を予防
・適度な運動で代謝を促進
・夏場はクーラーで室温管理(26℃前後)
・ストレスを減らすゆったりした生活環境
・定期的な体重測定で変化をチェック
・尿の色や量を日常的に観察
・タバコの煙を避ける(受動喫煙に注意)
特に「水飲み場を増やす」「歯磨きを習慣化する」の2点は、今日からすぐに実践できます。愛犬の年齢や体質に合わせて、無理のない範囲で取り組んでくださいね。
犬の腎臓病に関するよくある質問
Q:犬の腎臓病は治るのでしょうか?
犬の腎臓病、とくに慢性腎臓病は一度悪くなると完全には元に戻らない病気です。でも、治療や食事管理で進行をゆるやかにし、できるだけ長く快適に過ごせるようにすることは可能です。
Q:犬が腎臓病になったらどのくらい生きられますか?
腎臓病の進行度や治療のタイミングによって大きく変わりますが、早期発見と適切なケアで何年も元気に過ごす子もいます。慢性の場合は病気と上手に付き合っていくことが大切です。
Q:腎臓が悪い犬って、どんなごはんを食べたらいいの?
腎臓に負担をかけないように、タンパク質・リン・ナトリウムが控えめで、エネルギーがしっかり取れるごはんが理想です。市販の腎臓サポート用の療法食や、獣医さんの指導のもとでの手作り食がおすすめです。
Q:腎臓が悪くなる原因は何ですか?
老化や遺伝、感染症、慢性的な脱水、塩分過多などが関係することがあります。毎日の生活習慣が腎臓を守るカギになります。
Q:犬の腎臓病の末期って、どんな症状が出るの?
腎臓病が末期になると、元気がなくなったり、ごはんを食べなくなったり、嘔吐やけいれん、意識がぼんやりするなどの症状が見られることがあります。つらい時期ですが、痛みや苦しみを少しでも和らげるケアをしてあげることで、愛犬との穏やかな時間を支えることができます。
Q:腎臓病の犬はどうしてたくさん水を飲むの?
腎臓の機能が落ちると体に必要な水分を保つのが難しくなり、水を多く飲んで体内バランスをとろうとします。自然な反応なので、無理に止めないでください。
まとめ
尿の排泄に問題がある場合、尿路の閉塞が考えられます。そのため、定期的な健康診断を実施し、腎機能を確認することが重要です。特に、食事の制限や水分補給に注意し、動物の健康を守ることが必要です。飼い主として、獣医師のアドバイスをしっかりと受け入れ、適切なケアを行いましょう。動物病院を利用して、信頼できる獣医師に相談することが大切です。