犬の息が荒い…口を閉じている原因は?対処法と受診が必要なサインも|PETTENA
犬の息が荒い…口を閉じている
うちの子、最近なんだか呼吸がおかしい…と感じたら、それは愛犬からのSOSかもしれません。特に、口を閉じたまま息が荒くなるのは、単なる疲れではないサインです。もしかすると、ストレスや鼻づまりから、心臓病などの深刻な病気が隠れている可能性もあります。
この記事では、犬の呼吸トラブルに悩む飼い主さんに向けて、自宅でできる対処法と、見逃してはいけない危険な症状を詳しくご紹介します。

犬の正常な呼吸とは?

安静時の健康な犬の呼吸数は1分間に15~30回程度が目安です。寝ている時やリラックスしている時に、胸やお腹がゆっくり上下する様子を観察してみましょう。呼吸音も静かで、鼻からスーッと息を吸い、口や鼻から静かに吐くのが特徴です。

うちの子、寝ながら時々フゴフゴ言ってる…という場合も、夢を見ているだけなら心配いりません。ただし、常にゼーゼーという音がする、呼吸のリズムが乱れている場合は要注意です。

犬の息が荒い・速い主な理由

犬の息が荒い・速い主な理由

一時的に呼吸が荒くなる原因

犬が口を開けて「ハアハア」と浅く早い呼吸をするのは、犬にとって大切な体温調節機能の一つです。特に次のような場面ではごく自然な反応として見られます。

いつもより長めの散歩をした後や、公園で他の犬と活発に遊んだ直後など、運動後の愛犬の様子を思い浮かべてみてください。人間のように全身で汗をかくことができない犬は、舌を出して呼吸することで体内の熱を逃がしています。

また、真夏の炎天下でのお出かけ時や、エアコンの効いていない車内での移動時など、気温が高い環境下でも同様の呼吸が見られます。

動物病院への初めての訪問や、花火大会などの騒がしい場所に連れて行った時など、愛犬が興奮したり緊張したりしている場面でも、このような呼吸パターンが現れることがあります。

ただし、こうした状況下でのパンティングは一時的なもので、涼しい場所で休ませたり、落ち着ける環境に移動したりすることで通常はすぐに収まります。大切なのは、愛犬の呼吸がいつ?どのような状況で?速くなっているのか?を把握しておくことです。

注意が必要なケース

愛犬の呼吸がいつもと違うと感じた時、特に注意が必要なのは明らかな原因がないのに呼吸が荒い場合です。特に暑くもないのにハアハアしていたり、口を閉じたまま苦しそうに呼吸していたりする状態が見られたら、次のような健康上の問題が隠れている可能性があります。

7歳を過ぎたシニア犬には、心臓病のケースが多く見られます。心臓の機能が低下すると、体に十分な酸素を送れなくなるため、呼吸が早くなることがあります。

また、気管虚脱や肺炎などの呼吸器系疾患も、特徴的な呼吸の変化を引き起こします。特に「ガーガー」とガチョウのような咳を伴う場合は、気管虚脱の可能性が高いです。

熱中症の初期症状として呼吸が荒くなることもあります。夏場だけでなく、春先の急に暖かい日や、閉め切った室内でも起こり得るので油断は禁物です。

関節痛や腹痛などの痛み、強いストレス、貧血など、さまざまな内科的疾患が呼吸の変化として現れることがあります。

特に注意すべき犬種・年齢とは?

パグ

短頭種のリスク

鼻ぺちゃの愛らしい顔が特徴的なパグやフレンチブルドッグ、シーズー、ボストンテリアなどの短頭種は、呼吸器系のトラブルが起こりやすい傾向があります。

このような犬種は短頭種気道症候群と呼ばれる先天的な気道の狭窄を持っていることが多く、普通の犬よりも呼吸がしづらい構造をしているのです。

特に夏場の暑い日や興奮した時に、「ブーブー」と豚のような音を立てて呼吸したり、いびきをかいたりするのが特徴です。

短頭種を飼われている方は、以下のポイントに特に注意してください。
・夏場の散歩は早朝か日没後の涼しい時間帯に
・首輪よりハーネスの使用がおすすめ(気管への負担軽減)
・室温管理は人間より厳重に(25℃以下が理想)
・過度な興奮を避ける(おもちゃで激しく遊びすぎない)

愛犬のいびきがうるさくて...と悩む飼い主さんもいますが、実はそれが呼吸困難のサインかもしれないのです。寝ている時の呼吸状態を定期的にチェックし、異常があれば早めに動物病院に相談しましょう。

子犬・高齢犬のリスク

成長段階や年齢によっても、呼吸の特徴や注意点は変わってきます。子犬の場合、呼吸器系が未発達なため、ちょっとした興奮でも呼吸が荒くなりがちです。

7歳を過ぎたシニア犬では、加齢に伴う心臓や肺の機能低下が呼吸の変化として現れることが多くなります。特に以下の症状が見られたら要注意です。
・夜中に突然苦しそうに呼吸し始める
・少し歩いただけで息が上がる
・咳をするようになった
・食欲があるのに体重が減る

呼吸困難を引き起こす可能性のある病気

犬の息が荒い、口は閉じている

鼻腔狭窄

鼻腔狭窄は、鼻の穴が狭くなることで空気の通りが悪くなる病気で、パグやブルドッグなどの短頭種によく見られます。

愛犬が寝ている時に鼻を鳴らす、いびきがひどい、常に鼻づまりのような音がするなどの症状があれば、この病気を疑ってみてください。

軟口蓋過長症

軟口蓋過長症は、上あごの奥にある軟口蓋が通常より長く、気道を塞いでしまう病気です。「ガーガー」という特徴的な咳や、興奮時の呼吸困難、食べ物の飲み込みづらさなどが主な症状です。

特に暑い季節には症状が悪化しやすいため、涼しい環境を整えてあげることが大切です。症状が軽度であれば生活環境の改善で対応できますが、重症化すると外科手術が必要になることもあります。

鼻の腫瘍

シニア犬で注意したいのが鼻の腫瘍です。片方の鼻からだけ鼻水や出血が続く、くしゃみが頻繁になる、鼻周りを前足で掻く動作が増えるなどの症状が見られたら、早めに動物病院で検査を受けることをおすすめします。

早期発見が予後に大きく影響するため、CT検査などの精密検査が有効です。

鼻腔内異物

散歩好きの犬によく見られるのが鼻腔内異物です。草の種や小さなゴミが鼻に入ると、突然のくしゃみ連発や鼻血、鼻を床に擦り付けるなどの行動が見られます。

無理に取り除こうとすると逆に奥へ押し込んでしまう危険があるので、必ず獣医師に処置してもらいましょう。

短頭種気道症候群

短頭種気道症候群は、パグやフレンチブルドッグなどに特有の複合的な気道異常です。常に口を開けて呼吸している、運動を嫌がる、睡眠時無呼吸があるなどの症状が現れます。

予防には適正体重の維持やハーネスの使用、夏場の温度管理が効果的です。

すぐ病院に行くべき緊急サイン

ゼーゼー・ヒューヒューという異常音

「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という普段と明らかに違う呼吸音が聞こえる場合、気道が狭くなっていたり、肺に問題が起きていたりする可能性があります。このような音がする時は、愛犬が一生懸命に呼吸しようとしている証拠です。

ぐったりしている

ぐったりして動こうとしない状態も危険サインです。いつもなら喜んで駆け寄ってくる愛犬が、名前を呼んでも反応しない、おやつを見せても興味を示さないといった様子が見られたら、すぐに体調をチェックしてください。

犬の息が荒い、口は閉じている

口を閉じたまま苦しそうに呼吸している場合は、鼻腔や気道に何らかの障害が起きている可能性が高いです。

舌や歯茎が紫色になっている

最も分かりやすい緊急サインがチアノーゼです。これは体が酸素不足に陥っている明確な証拠で、一刻も早い処置が必要です。

息が荒い状態が続くと、普段のお出かけでも「少し心配…」と感じることがありますよね。そんなときは、無理に歩かせずにカートなどで移動できる環境を整えてあげるのもひとつの方法です。

呼吸が不安定なワンちゃんでも安心して使える、通気性に優れたPETTENAのペットカートを見てみる↓↓↓

ペットカート
PETTENA どこでも使える便利な犬用ベビーカー


犬が苦しそうに呼吸しているときの応急処置

犬の熱中症

涼しい場所へ移動させる

「ハアハア」と苦しそうに呼吸している愛犬を見つけたら、まずはすぐに涼しい場所に移動させてあげましょう。

特に夏場の暑い日や、直射日光が当たる場所にいた場合は、熱中症の初期症状の可能性があります。エアコンの効いた部屋や風通しの良い日陰に移動し、体を冷やしてあげることが第一優先です。

冷たいタオルで首元やわきの下、内股の付け根を冷やしてあげると、体温が下がりやすくなりますよ。ただし、急激に冷やすと逆に危険なので、常温の水で絞ったタオルを使うのがポイントです。

無理に触ったり抱っこしない

愛犬が苦しそうにしていると、つい抱き上げて安心させてあげたくなりますが、実これは逆効果になることがあります。

呼吸が苦しい状態の時に体を拘束されると、さらに息苦しさが増してしまうからです。特に前足で体を支えている起坐呼吸の姿勢を取っている時は、無理に横にさせようとせず、楽な姿勢を保たせてあげましょう。

飼い主さんは、優しく声をかけながら、愛犬が自分で楽な姿勢を見つけるのを待ってあげてください。触るなら、そっと胸や背中を撫でてあげる程度に留めましょう。

呼吸を楽にするための家庭内ケア

動物病院に行くまでの間、自宅でできる呼吸ケアをご紹介します。まずは室温を25℃前後に保ち、湿度も50%程度に調整しましょう。

加湿器や除湿器を使うと効果的です。短頭種の場合は、犬用の加湿器を使うことで呼吸が楽になることがあります。

横向きに寝かせると気道が開きやすくなるので、クッションなどで体を支えて横向きの姿勢を保たせてあげるのも一つの方法です。ただし、犬が嫌がる場合は無理に行わないでください。

水分補給も重要ですが、勢いよく水を飲ませるとむせてしまう可能性があるので、少量ずつ与えるようにしましょう。もしも水を飲む元気がないようであれば、口元を湿らせる程度で構いません。

これらの応急処置をしても症状が改善しない場合や、舌が紫色になる様子が見られる場合は、夜間でもすぐに動物病院に連絡してください。飼い主さんの冷静な判断と迅速な行動が、愛犬の命を救うことにつながります。

動物病院を受診するタイミングと診断内容

受診前にメモしておくべきポイント

・症状が始まった時期と時間帯
・呼吸状態の変化(安静時と運動後の比較)
・咳やくしゃみの有無とその特徴
・食欲があるのに体重が減る
・最近の環境変化
・既往歴や現在服用中の薬

特に「いつから」「どのような状況で」症状が出始めたかは重要な手がかりになります。スマホで動画を撮影しておくと、獣医師にも症状が伝わりやすいです。

診察で行われる検査の例

動物病院では、愛犬の呼吸状態に応じて次のような検査が行われることがあります。

基本的な身体検査では、聴診器で心音や呼吸音をチェックし、体温測定口腔内の観察が行われます。

さらに詳しい検査として、血液検査で炎症の有無や臓器の状態を調べたり、X線検査で心臓や肺の状態を確認したりします。

「ゼーゼー」という音がする場合には、気管支鏡検査で気道の状態を直接観察することもあります。

検査結果に基づき、必要に応じて酸素吸入や投薬治療が行われます。特に呼吸困難がひどい場合には、入院管理が必要になることもありますので、いつでも対応できるように準備しておくと安心です。

呼吸異常の予防法と日頃のケア

犬の呼吸のケア

体重管理と運動のバランス

実はほんの少しの体重増加でも、気道に負担がかかり呼吸がしづらくなることがあります。特にパグやフレンチブルドッグなどの短頭種は、適正体重を維持することが呼吸器の健康に直結します。

獣医師のアドバイスで、以下のような調整をしたところ改善が見られます。
・おやつの量を半分に減らし、代わりに茹でた野菜を与える
・1回の散歩時間は短くても、回数を増やす
・室内遊びに知育玩具を取り入れ、運動量を確保

適正体重がかわからない飼い主さんは、かかりつけの獣医師にボディコンディションスコア(BCS)を確認してもらうと良いでしょう。愛犬に適した運動量も一緒に相談してみてくださいね。

暑さ対策

犬は人間よりもずっと暑さに弱い生き物です。特に梅雨明けから9月頃までは、熱中症による呼吸困難のリスクが高まります。

基本中の基本は、室内の温度をしっかり管理することです。エアコンを28℃以下に設定し、サーキュレーターで空気を循環させます。冷気は下にたまるので、犬が過ごす床付近の温度に注意しましょう。

お散歩の暑さ対策も重要です。夏場は早朝5~6時か、日が沈んでからがベストタイミングです。アスファルトの温度を手の甲で5秒間触って、熱くないことを確認してから出かけましょう。冷却効果のある犬用ベストや、保冷剤入りのハーネスもおすすめです。

どうしても日中に外出しなければならない時は、クールマットをケージに敷いたり、凍らせたペットボトルをタオルで巻いてそばに置いたりするだけでも違います。

愛犬が自分で涼しい場所を選べるように、逃げ場を複数用意してあげてください。

定期健康診断の大切さ

元気そうだから大丈夫!と思っていても、実は気づかないうちに呼吸器に負担がかかっていることがあります。特に7歳を過ぎたら、半年に1回の定期健診がおすすめです。

健康診断では、聴診器で心音や呼吸音をチェックするだけでなく、血液検査やレントゲン検査で内臓の状態まで詳しく調べられます。

犬の息についてのよくある質問

Q:犬の呼吸が速いとき、どうすればいいですか?

愛犬の呼吸がいつもより速いときは、まず落ち着いて様子を見守りましょう。運動後や暑い時期は自然な反応のこともありますが、涼しい場所に移動させ、安静にさせてください。それでも呼吸が荒いまま続く場合や、苦しそうに見えるときは、すぐに動物病院に相談しましょう。

Q:犬が亡くなる前、呼吸はどうなりますか?

犬が旅立つ前には、呼吸がゆっくりになったり、反対に浅く速くなったりすることがあります。呼吸のリズムが乱れ、苦しそうに見えることもあるため、そっとそばで寄り添ってあげてください。不安な場合は、獣医師に相談して愛犬にとって一番穏やかな過ごし方を考えましょう。

Q:犬が呼吸を苦しそうにしているときの姿勢は?

呼吸が苦しそうなとき、犬は首を伸ばしたり、前かがみになったりして、少しでも呼吸をしやすい姿勢をとろうとします。おなかや胸を大きく動かして息をしていることもあります。こんなサインが見られたら、すぐに涼しい静かな場所で休ませ、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

まとめ

愛犬が口を閉じたまま息が荒い場合、ストレスや軽度の鼻づまりから心臓病などの深刻な病気まで様々な原因が考えられます。特に安静時に呼吸数が増えている、舌の色が悪い、元気がないなどの症状があれば早めの受診が必要です。
短頭種やシニア犬は特に注意し、日頃から体重管理と暑さ対策を心がけましょう。気になる症状があれば動画を撮って獣医師に相談するのがおすすめです。

PETTENA編集部

PETTENA編集部は、ペットとその飼い主がより良い生活を送れるよう、専門的な知識に基づいた信頼性のある情報を提供するチームです。特に、ペットカートを中心に、安全で楽しいお出かけをサポートするコンテンツをお届けしています。