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愛犬がいつもより元気がないと、不安になりますよね。肝臓は代謝や解毒を担う重要な臓器ですが、初期には目立った症状が出にくいこともあります。この記事では、数値異常の意味、日常の食事管理でできるサポート方法までをわかりやすく解説します。
犬の肝臓数値が高いと言われたら?すぐ重症というわけではない

健康診断で「ALTが高いですね」と言われると、不安になりますよね。けれど、ALTやASTの上昇は必ずしも重い肝臓病を意味するわけではありません。
ALT(GPT)は主に肝臓の細胞の中に存在する酵素で、細胞がダメージを受けたときに血液中へ漏れ出します。つまり、数値の上昇は「肝細胞に何らかの負担がかかっているサイン」です。
ただしここで重要なのは、"ダメージの存在" と "肝機能の低下" は同じではないという点です。
ALTは「細胞の傷つきやすさ」を示す指標であり、肝臓が本来の働きを失っているかどうかは、胆汁酸検査やアルブミン値など他の評価も合わせて判断されます。実際、軽度上昇であれば一過性の炎症やストレス、薬剤の影響などで変動することもあります。
AST(GOT)は肝臓だけでなく筋肉にも多く含まれるため、運動後や筋肉の炎症でも上昇する可能性があります。そのため AST単独の上昇は、必ずしも肝臓だけの問題とは限りません。
獣医療では、こうした数値を単回で判断するのではなく、再検査による推移の確認が基本とされています。
犬肝臓の数値が高い原因と食事でできる対策
ALTやASTの上昇にはさまざまな背景があります。食事が関係していることもありますが、それだけが原因とは限りません。ここでは、日常生活の中で見直しやすいポイントを中心にご紹介します。
食事が関係しやすいケース
① 高脂肪の食事
脂質は重要な栄養素ですが、過剰になると肝臓での代謝負担が増えます。特に体重が増えている場合は、脂肪蓄積による肝細胞への影響が起こりやすくなります。
② おやつ・加工食品の増加
市販おやつや人の食べ物の取り分けは、知らないうちに脂質・塩分・エネルギー過多につながります。肝臓は代謝と解毒を担う臓器のため、過剰な負担は避けたいところです。
③ 肥満
肥満は慢性的な炎症や脂質代謝異常を招き、肝酵素上昇のリスク要因になります。体重管理は、もっとも基本的で効果的なサポートのひとつです。
④ 薬剤や他疾患
長期投薬やホルモン疾患、胆道トラブルなどが原因になることもあります。この場合、食事だけで改善するものではありません。
※ALT・AST上昇の原因は一つとは限りません。数値だけで自己判断することは避けましょう。
数値別・食事対応の目安
ALT・ASTの値は単独で重症度を決めるものではありませんが、目安としての考え方を知っておくと落ち着いて対応できます。以下はあくまで方向性の整理であり、診断基準ではありません。
| ALT値の目安 | 状態の傾向 | 食事で意識すること |
|---|---|---|
| 50〜100(軽度) | 無症状が多い | おやつ制限・脂肪量の見直し・体重確認 |
| 100〜300(中等度) | 継続する場合は要注意 | 肝臓配慮食の検討・良質タンパク質を適量 |
| 300以上 | 詳細検査が必要 | 必ず獣医師の管理下で調整 |
・軽度上昇(ALT 50〜100程度)
元気や食欲に変化がない場合、いきなり大きな制限をかける必要はないケースもあります。間食を減らし、脂質量を見直すだけで数値が安定することもあります。
・中等度上昇(100〜300程度)
数値が継続している場合は、一般食のままで様子を見るか、肝臓に配慮した療法食を検討する段階です。近年の小動物栄養管理では、タンパク質を極端に減らすのではなく、消化吸収しやすい質の良いタンパク質を適量与えることが重視されています。
・高度上昇(300以上)
このレベルでは食事だけで判断するのは危険です。画像検査や追加血液検査を含め、獣医師の総合的な評価が必要になります。
肝臓にいい食事管理の5つの基本ルール
肝酵素が高めと言われたとき、極端な制限よりも「基本を整えること」が重要です。ここでは、日常で実践しやすい原則をまとめます。

高脂肪を避ける
脂質の過剰摂取は肝臓での代謝負担を増やします。とくに肥満傾向がある場合は、脂肪量の見直しが優先です。
良質なタンパク質を選ぶ
肝疾患=タンパク質制限、ではありません。現在の栄養管理では「消化吸収のよいタンパク質を適量」が基本です。
抗酸化栄養素を取り入れる
肝臓は活性酸素の影響を受けやすい臓器です。抗酸化栄養素は細胞保護のサポートになります。
少量頻回給餌
一度に大量に食べると、消化器・肝臓への負担が増します。 1日2回の場合は、3〜4回に分けることも検討します。
体重管理を徹底する
肥満は肝酵素上昇と関わりやすい要因のひとつです。体脂肪が増えると脂質代謝の負担が大きくなり、肝臓に継続的なストレスがかかります。そのため、理想体重を維持することが基本になります。
フードは目分量ではなく毎回計量し、摂取カロリーを安定させましょう。体格に対して脂肪が多い場合は、低脂肪設計のフードへの切り替えを検討します。また、週1回同じ条件で体重を測定し、小さな変化を早めに把握することが大切です。
与えてOKな食材・避けたいNG食材一覧
判断に迷いやすい食材を、分かりやすく整理します。
比較的安心して使える食材
- 鶏むね肉(皮なし)
- 鶏ささみ
- 七面鳥(皮なし)
- うさぎ肉(脂肪が少ない部位)
- 馬肉(赤身中心)
- 豚ヒレ肉(脂身除去)
- 牛赤身(脂肪をしっかり除く)
※必ず加熱し、脂身は取り除きます。
- タラ
- カレイ
- ヒラメ
- スズキ
- サワラ(脂が少ない部位)
- マグロ赤身(少量)
※骨を完全に除去し、必ず加熱。
- 木綿豆腐
- 絹ごし豆腐
- おから(少量)
- 無調整豆乳(少量)
※大豆製品は与えすぎないこと。
- かぼちゃ
- にんじん
- ブロッコリー
- キャベツ
- 小松菜
- ほうれん草(少量)
- ズッキーニ
- 大根(加熱)
- きゅうり(少量)
※すべて加熱し、細かく刻むかペースト状に。
- 白米
- おかゆ
- じゃがいも(加熱)
- さつまいも
- うどん(塩分無添加)
注意が必要な食材
量や頻度によっては負担になるもの。
- レバー(ビタミンA過剰のリスク)
- 高脂肪牛肉
- 加工肉(ハム・ソーセージ)
- チーズ(脂肪・塩分高め)
犬の肝臓に悪い食べ物
肝酵素が高いかどうかに関わらず、健康な犬でも与えてはいけない食品があります。これらは肝臓への負担という以前に、中毒や急性障害を引き起こす可能性があるため、完全に避ける必要があります。
① 玉ねぎ・長ねぎ・にら類
ネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物は、犬では赤血球を破壊し溶血性貧血を引き起こすことがあります。加熱しても毒性は完全には消えません。
② チョコレート
カカオに含まれるテオブロミンは犬では代謝が遅く、中枢神経興奮や不整脈、重症例では痙攣を引き起こします。
③ キシリトール
少量でも急激なインスリン分泌を誘発し、低血糖や急性肝障害を起こすことがあります。ガムやお菓子の誤食に注意が必要です。
市販フードはそのままで大丈夫?切り替えの判断基準
血液検査でALT・ASTが高いと言われたとき、多くの飼い主さんが悩むのが犬の肝臓療法食はいつから切り替えるべき?という点です。結論から言うと、数値と症状の組み合わせで判断します。
すぐ切り替えるべきケース
以下のような場合は、一般食のまま様子を見る段階ではありません。
- 数値が複数回の検査で継続して高い
- ALTが中等度以上で推移している
- 食欲低下・元気がなくなる
- 黄疸(歯ぐきや白目が黄色い)が見られる
この場合は、肝臓に配慮した療法食への切り替えを早めに検討します。食事は「治療の補助」ではなく、「管理の一部」になる段階です。
様子見でもよいケース
一方で、以下のような場合は生活管理の見直しから始めることもあります。
- ALTが軽度上昇(例:50〜100程度)
- ASTやALPなど他の関連数値が正常
- 臨床症状がまったくない
この場合は、まず体重管理・脂肪制限・間食コントロールを行い、再検査で推移を確認します。「数値単発上昇=即療法食」とは限りません。
おすすめの療法食とサプリの選び方
療法食は「高価格だから良い」「ぜったい効く」といったものではなく、肝臓の状態に合わせて最適な栄養設計がされた選択肢です。
ここでは臨床でよく用いられる製品の特徴を整理します。
おすすめの療法食
① ロイヤルカナン 肝臓サポート
ロイヤルカナンの肝臓サポートは、国内でも獣医師の処方実績が多い肝臓管理用フードです。
- 低銅設計(肝臓に銅が蓄積しやすい症例への配慮)
- 高消化性タンパク質
- 適度な脂質バランス
- 抗酸化栄養素配合
- 食べやすさが比較的高い
- 使われ方の傾向
この製品は軽度〜中等度の慢性肝疾患や、初期から栄養管理を始めたいケースで選ばれることが多いです。
消化性を重視しつつ全体のバランスがとれているため、食欲が落ちていない段階でも安定した管理がしやすいという評価があります。
② ヒルズ l/d(肝臓ケア)
ヒルズ の l/d は、肝臓管理の早期〜中期のサポートとしてよく用いられる療法食です。
- 消化性にすぐれたタンパク質
- 低銅設計
- ビタミンEなど抗酸化栄養素を強化
- L-カルニチンなど代謝補助成分の配合
- 使われ方の傾向
肝機能にやや低下がみられる場合 や、ALT・ASTが中等度以上で継続しているケースで選択されることが多いです。代謝サポートや栄養吸収のしやすさに重点が置かれているため、食欲がやや落ちている子でも比較的受け入れやすいという声があります。
サプリは必要か?
サプリメントは療法食の"補助"です。必須ではありませんが、症状や進行度合いによっては有用な場合があります。
- SAMe(サミー):肝細胞の修復を助ける成分で、獣医師も推奨
- ミルクシスル(マリアアザミ):肝臓の解毒作用をサポート
- オメガ3脂肪酸:炎症を抑え、肝機能を改善
- L-カルニチン:脂肪代謝を促進し、脂肪肝を防ぐ
- ビタミンE:抗酸化作用で肝細胞を保護
いずれも単体で「改善する」ものではなく、療法食に組み合わせて使われる補助栄養として考えます。また、同時に多種類を使うと肝臓代謝に負担をかける場合もあり、獣医師の指示に基づく利用が安心です。
犬の肝臓にいい簡単手作りレシピ(体重別目安つき)
※以下は総合栄養食の「置き換え」ではなく、トッピングや一時的なサポート用です。
※持続的な肝疾患管理では、主食は療法食または獣医師推奨フードを基本にします。

レシピ1:鶏むね肉とかぼちゃのやわらか煮
低脂肪・高消化性タンパク質+抗酸化野菜の基本形です。
・鶏むね肉(皮なし) 40g
・かぼちゃ 30g
・水 150ml
・鶏むね肉は脂身を除き、小さく刻む。
・かぼちゃは皮を取り、柔らかくなるまで加熱。
・鍋に水と材料を入れ、弱火で10分ほど煮る。
・粗熱をとり、軽くほぐして与える。
1日あたり 40〜60g程度をトッピング
(総摂取カロリーの20%以内に抑える)
レシピ2:白身魚と野菜のスープ
食欲がやや落ちている時に使いやすい、水分補給型レシピ。
・タラまたはカレイ 40g
・にんじん 20g
・ブロッコリー 15g
・水 200ml
・魚は骨を完全に除去。
・野菜は細かく刻む。
・すべてを水で10〜15分煮る。
・軽くほぐし、スープごと与える。
1日あたり50〜70g
(食欲が落ちている場合は少量を2回に分ける)
レシピ3:豆腐入りやさしい雑炊
消化負担を抑えたい時の炭水化物補助。
・白米(炊いたもの) 40g
・木綿豆腐 30g
・鶏むね肉 20g
・水 200ml
・すべての材料を鍋に入れる。
・弱火で煮込み、おかゆ状にする。
・完全に冷ましてから与える。
1日あたり60g前後
肝臓病は食事でどこまで改善できる?回復期間の目安
肝疾患は「食事だけで治る病気」ではありません。ただし、原因が代謝性・栄養性・軽度炎症性である場合、食事管理は数値改善に大きく関与します。
軽度の場合(機能性上昇・初期炎症)
ALTが軽度上昇(例:50〜100程度)で、画像検査や他の血液項目に大きな異常がない場合。
このケースは、体重管理・低脂肪化・間食制限・肝臓配慮食への移行を行うことで、1〜3か月以内に数値が正常域へ戻る例もあります。
特に「肥満関連脂肪肝」「一過性代謝負荷」が背景の場合は、生活管理の影響が出やすい傾向があります。
慢性化している場合(慢性肝炎・線維化傾向)
ALTが中等度以上で持続している、または超音波検査で肝実質の変化が確認されている場合。
この段階では、改善よりも安定維持が目標になります。
食事管理によって:
- 炎症の進行を緩やかにする
- 筋肉量を維持する
- 代謝負担を軽減する
ことが期待されます。
慢性肝疾患は数か月単位ではなく、年単位で管理する疾患です。数値の微減でも「悪化を止めている」可能性があります。
改善しにくいケース
以下の疾患では、食事だけでの改善は困難です。
1. 先天性門脈シャント
門脈血が肝臓を通らず体循環に流れる構造異常です。栄養管理は症状緩和に重要ですが、根本治療は外科的介入が必要になることが多いです。
2. 腫瘍性疾患
肝細胞癌や転移性腫瘍では、栄養管理は支持療法に位置づけられます。治療方針は外科・内科的治療が中心です。
肝臓がデリケートな犬種と予防のポイント
すべての犬が同じリスクではありません。遺伝的素因や代謝特性により、肝疾患が起こりやすい犬種が知られています。
肝臓がデリケートな犬種
1. ドーベルマン
慢性肝炎の好発犬種として報告が多く、銅蓄積関連の肝炎が関与するケースもあります。
2. ヨークシャー・テリア
先天性門脈シャントの発生率が比較的高い犬種です。若齢期からの検査が重要です。
3. ミニチュア・シュナウザー
脂質代謝異常を起こしやすく、高脂血症に関連した肝酵素上昇が見られることがあります。
日常でできる予防策
リスク犬種では特に以下を意識します。
- 若齢期からの定期血液検査
- 高脂肪食を避ける
- 体重管理を徹底する
- 無症状でも年1〜2回の健康チェック
「症状が出てから」ではなく、数値変化の早期発見が最大の予防策です。
犬の肝臓にいい食事に関する質問
犬の肝臓が悪いとき、食べさせちゃダメなものってあるの?
はい、あります。脂っこい食べ物や塩分が多いもの、生の肉や魚は肝臓に負担をかけやすいので避けましょう。特にジャーキーや味付きの人間用食品はNGです。肝臓が弱っているときは、やさしい食材を選んでくださいね。
犬の肝臓の数値が少し高いだけでも、肝保護薬は必要ですか?
肝臓の数値が軽度に高いだけで、すべての犬に肝保護薬が必要とは限りません。 一時的なストレス、食事内容、投薬、運動後の影響などで数値が上がることもあり、無症状の場合は経過観察のみで対応されるケースも多くあります。数値の上昇幅、持続期間、他の検査結果や症状を総合的に見て、治療が必要かどうかを獣医師が判断します。
シニア犬で肝臓の数値が高いと言われました。食事や薬で改善できますか?
原因によっては、食事管理や肝保護薬によって数値の改善が期待できる場合があります。 シニア犬では加齢に伴う肝機能低下が見られることもあり、消化にやさしく脂肪を控えた食事や、獣医師が処方する肝保護薬が用いられることがあります。ただし、原因疾患がある場合は食事だけでの改善は難しいため、まずは原因の特定が重要です。
肝臓病の犬に果物はOK?おすすめは?
適量であれば、りんごやバナナ、ブルーベリーなどがおすすめです。ビタミンや抗酸化成分が豊富で、肝臓にもやさしいですが、糖分が多いので与える量は少なめにしましょう。種や皮は取り除いてください。
犬の肝臓がんの原因はドッグフードだけなのでしょうか?
犬の肝臓がんの原因がドッグフードだけということはありません。 肝臓がんの原因は多因子的で、遺伝的要因、慢性的な肝疾患、加齢、良性腫瘍からの変化などが関与すると考えられています。特定のフードだけが直接の原因になると断定できる医学的根拠は現在のところありません。
ドッグフードより残飯を食べていた犬のほうが長生きするという話は本当ですか?
残飯中心の食事のほうが寿命が延びると科学的に証明された事実はありません。 人の食事は塩分や脂肪が多く、犬にとって有害な食材が含まれることもあり、長期的には健康リスクになる可能性があります。現在の総合栄養食として設計されたドッグフードは、犬に必要な栄養バランスを考慮して作られています。
元気で食欲もあるのに、肝臓の数値が基準の10倍以上高いのは病気ですか?
無症状でも、肝臓の数値が基準の10倍以上高い場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。 肝炎、胆道系疾患、内分泌疾患、中毒、先天性の血管異常などが原因として考えられ、元気や食欲があっても注意が必要です。早めに追加検査を行い、原因を特定することが重要です。
犬の肝臓の数値を下げる食事方法はありますか?
肝臓の負担を減らす食事は、数値改善のサポートになることがあります。 一般的には高脂肪を避け、消化しやすい良質なタンパク質を適量取り、総合栄養バランスが整った食事が推奨されます。ただし、食事だけで数値が必ず下がるわけではなく、原因疾患がある場合は治療と併用する必要があります。
まとめ
肝臓の数値が高いと聞くと不安になりますが、すぐに深刻とは限りません。大切なのは、原因を見極めたうえで、食事と生活管理を無理なく整えていくことです。焦らず、定期的なチェックを続けながら、長く安定した状態を目指していきましょう。





























