犬の肝臓にいい食事とは?NG食材・療法食と簡単手作りレシピ3選|PETTENA
犬の肝臓に優しい食事
愛犬が元気ないと、心配になりますよね。
特に「肝臓」は沈黙の臓器と呼ばれ、症状が出たときには進行していることもあります。
この記事では、犬の肝臓の働きや病気のサイン、毎日の食事でできるケア方法をやさしく丁寧に解説します。

犬の肝臓が果たす4つの大切な役割

犬が健康な食事を食べる

代謝の要!栄養素を体に役立つ形に変換

愛犬が食べたごはんは、肝臓で体に必要なエネルギーや材料に変わります。例えば、炭水化物を血糖値の調整に役立つ形に変えたり、タンパク質をアミノ酸に分解したりします。

肝臓がしっかり働いてくれるおかげで、元気に走り回れるエネルギーが生まれるんです。特にシニア犬になると代謝機能が低下しがちなので、消化の良い良質なフード選びが大切になってきます。

体のデトックスセンター!解毒作用

昨日、うっかりチョコレートを落として愛犬が食べてしまった…そんな時も肝臓が頑張って有害物質を無毒化してくれます。薬剤や添加物、老廃物の処理も肝臓の仕事です。

でも、負担がかかりすぎると機能が低下するので、人間用の薬や有害な食べ物は絶対に与えないようにしましょう。もしかして危険なものを食べてしまったかもという時は、すぐに動物病院に相談してくださいね。

消化を助ける胆汁の生成

愛犬が脂っこいフードを食べた後、肝臓は胆汁を生成して消化をサポートします。この胆汁が不足すると、下痢や脂肪便の原因になります。

もし愛犬の便の状態が気になる時は、肝臓の働きが弱まっているサインかもしれません。特に脂質の多いおやつの与えすぎには注意が必要です。

血液の貯蔵庫としての機能

肝臓は血液の貯蔵庫としても働き、出血時などに備えています。手術時の止血やけがからの回復にも関わってくるので、健康診断で肝臓の状態を定期的にチェックしておくと安心です。

犬の肝臓病とは?その原因と症状

愛犬の肝臓を脅かす3大原因

栄養バランスの乱れが肝臓に負担をかける
ついおやつを多めにあげてしまうとか、人間の食べ物を少しくらいなら…そんな習慣が実は肝臓に大きな負担をかけているかもしれません。特に脂質の摂りすぎは肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝の原因になります。

市販のドッグフードでも、AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準を満たしたバランスの良いものを選ぶことが肝心です。シニア犬になると代謝機能が低下するので、年齢に合ったフードへの切り替えも検討しましょう。

肥満が肝臓病のリスクを高める
ぽっちゃりしてる方が可愛いと思っていても、実は内臓脂肪が肝臓を圧迫し、機能低下を招くことがあります。

適正体重を維持するためには、毎日の適度な運動とカロリーコントロールが欠かせません。お散歩の時間を増やしたり、低カロリーなおやつに切り替えたりするだけでも効果がありますよ。愛犬の理想体重が分からない場合は、かかりつけの獣医さんに相談してみてください。
チェック項目 理想的な状態 注意すべきサイン
肋骨の触れ 軽く触れると肋骨が分かるが、見た目には浮き出ていない ・肋骨が見える → やせすぎ
・触れない → 太りすぎの可能性
上から見る ウエスト部分にほどよいくびれがある ・くびれがない → 太り気味
・くびれすぎ → やせすぎかも
横から見る お腹が胸から後ろにかけて少し引き締まって見える ・お腹がたるんでいる → 太っている可能性大
元気さ よく動く・走る・活発に遊ぶ ・急に動かなくなった・動きを嫌がる → 要注意

毒素や感染症によるダメージ
チョコレートやキシリトール、ユリ科の植物など、犬にとって有毒な物質は肝臓に大きな負担をかけます。また、レプトスピラ症などの感染症も肝臓病の原因になります。

散歩中に拾い食いをしないよう注意し、定期的なワクチン接種で予防することが大切です。もし誤飲してしまったら?と心配な時は、すぐに動物病院に連絡しましょう。早めの対応が肝臓を守ることにつながります。

見逃しがちな肝臓病のサイン

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、病気が進行するまで目立った症状が出ないことが特徴です。以下のような小さな変化を見逃さないようにしましょう。
・食欲不振:「最近食が細いな」と思ったら、肝臓の機能低下のサインかも
・嘔吐:頻繁に吐くようになったら要注意(特に黄色い胆汁を吐く場合)
・元気がない:お散歩を嫌がる、遊びたがらないなど普段と違う様子
・水をよく飲む:肝臓病で喉が渇きやすくなることがあります
・目や歯茎が黄色い:黄疸が出たらすぐに受診が必要です
・お腹が膨れる:腹水がたまっている可能性があります

「年のせいかな?」と見過ごしがちな症状も、実は肝臓からのSOSかもしれません。特にシニア犬の場合は、半年に1回の健康診断で血液検査を受けることをおすすめします。ALTやALPなどの肝臓の数値をチェックすることで、早期発見が可能になります。

肝臓にやさしい食事管理のポイント

肝臓病の愛犬やシニア犬の食事管理は、ちょっとした工夫で大きく変わります。今回は、獣医師も推奨する肝臓に優しい食事のポイントを、忙しい毎日でも無理なく実践できる方法でお伝えします。
肝臓に優しい食事

少量・高品質なたんぱく質を

肝臓が弱っている愛犬には、消化吸収の良い良質なたんぱく質が欠かせません。鶏ささみや白身魚、卵などはアミノ酸スコアの高い食べ物がおすすめです。ただし、たんぱく質の与えすぎは逆に肝臓に負担をかけるので、愛犬の体重に合った適量を守りましょう。

手作り食に挑戦したい飼い主さんは、獣医栄養学に基づいたレシピを参考にすると安心です。市販の療法食を利用するなら、肝臓サポート用の処方食が便利で、必要な栄養素がバランスよく配合されています。

ビタミン・ミネラルをバランスよく

肝臓の働きをサポートするには、ビタミンB群やビタミンE、亜鉛などの微量栄養素が重要です。かぼちゃやブロッコリー、にんじんなどの野菜を柔らかく煮て与えると、自然な形で栄養補給ができます。ただし、肝臓病の犬は銅の代謝がうまくいかないことがあるので、銅含有量の少ない食材を選ぶのがポイントです。

サプリメントを使う場合は、必ず獣医師に相談してからにしましょう。何をどれくらい与えればいいか分からない時には、市販の犬用マルチビタミンを適量混ぜるのも手軽な方法です。

低脂肪・高水分のメニューで負担軽減

脂っこい食事は肝臓に大きな負担をかけます。特に脂肪肝が気になる愛犬には、脂肪分を控えめにした食事がおすすめ。鶏の皮を取り除いたり、脂身の少ない部位を選んだりするだけでも違いがあります。

水分補給も肝臓ケアの重要なポイントで、ウェットフードやスープを加えると自然に水分摂取量が増えます。夏場や乾燥する季節は、いつもより多めに水を飲ませるように心がけましょう。

食欲がない時は、人肌程度に温めた食事を与えると食いつきが良くなることもありますよ。

食事回数を工夫して消化を助ける

1日2回の食事では肝臓に負担がかかりすぎる場合、3~4回に分けて少量ずつ与えるのが理想的です。特に朝晩しか食事時間が取れない忙しい飼い主さんは、自動給餌器を使うと便利です。タイマー設定で決まった時間に適量を与えられます。

夜遅い時間の食事は避け、就寝3時間前までに最後の食事を済ませるようにしましょう。どうしても時間が不規則になりがちな場合は、消化の良いおやつを小分けにして与えるだけでも、肝臓への負担軽減につながります。

与えてOKな食材・NGな食材

犬

肝臓に優しい食材リスト

良質なたんぱく源:白身魚と鶏肉
タラやカレイなどの白身魚は消化吸収が良く、肝臓に負担をかけにくい優秀なたんぱく源です。茹でて骨を取り除き、ほぐして与えるのがおすすめです。

鶏ささみも低脂肪で高たんぱく、ビタミンB群が豊富な理想的な食材です。調理の際は必ず火を通し、脂身や皮は取り除いてあげましょう。手間がかかりすぎると感じる飼い主さんは、週末にまとめて調理して小分け冷凍しておくと便利ですよ。

植物性たんぱく質:豆類

豆腐やゆでた大豆は、動物性たんぱく質に偏らないバランスの良い食事作りに役立ちます。ただし、与えすぎは消化不良の原因になるので、メインのたんぱく源というよりはトッピング程度に収めます。

絹ごし豆腐ならそのまま与えられ、消化も良いのでおすすめです。豆類は必ず加熱処理し、味付けなしで与えるのがポイントです。

ビタミン補給に:野菜

かぼちゃやブロッコリー、にんじんなどの緑黄色野菜は、肝臓の働きをサポートするビタミンが豊富です。柔らかく茹でて小さく刻んで与えましょう。

ただし、ネギ類やニラは絶対にNG。少量でも危険ですので注意してください。野菜を与える際は、愛犬の消化能力に合わせてペースト状にしたり、スープにしたりと形態を変えると良いでしょう。

おやつ代わりに:適量の果物

種と芯を除くリンゴやバナナは、自然な甘みで愛犬も喜ぶヘルシーなおやつに。ただし果糖を含むので、与えすぎには注意が必要です。

1日の摂取量は、小型犬でティースプーン1杯程度から始めましょう。初めて与える果物は少量から試し、体調に変化がないか観察しながら量を調整してください。

肝臓に負担をかけるNG食材

高脂肪の食材
バターや脂身の多い肉、揚げ物などは肝臓に大きな負担をかけます。特に脂肪肝が気になる愛犬には、脂肪分を極力控えた食事を心がけましょう。お肉を選ぶ時は、ささみやモモ肉の脂身をしっかり取り除くことが大切です。

塩分の多い食品
ハムやソーセージ、ちくわなどの加工食品は塩分が多く、肝臓や腎臓に負担をかけます。人間用に味付けした食べ物は基本的に与えないようにしましょう。

どうしても味をつけたい時は、犬用の無塩だしを少量使う程度に。市販の犬用おやつも、原材料表示を確認して塩分控えめのものを選ぶのがおすすめです。

生肉・生魚
一見良さそうに思える生肉や生魚ですが、肝臓が弱っている愛犬にはリスクが大きい食材です。細菌や寄生虫の危険があるだけでなく、ビタミンB1を分解する酵素を含むものもあるので注意が必要です。

必ず十分に加熱処理してから与えるようにしましょう。特に生の豚肉は絶対に避けてください。

消化の悪い生野菜
レタスやキャベツなどの生野菜は、消化が悪く下痢の原因になることがあります。与える時は必ず加熱し、愛犬の消化しやすい状態に調理しましょう。

繊維質の多い野菜は特に注意が必要で、細かく刻んだり、ピューレ状にしたりする工夫が必要です。

獣医師おすすめの療法食とサプリ

療法食の選び方のポイント

肝臓サポート用の療法食を選ぶ際は、まずAAFCO(米国飼料検査官協会)の基準を満たしているかを確認しましょう。特に重要なのが、たんぱく質の質と量です。肝臓病の犬には高品質で消化の良いたんぱく質が適量含まれていることが大切です。ロイヤルカナンやヒルズといった大手メーカーの肝臓サポートフードは、獣医栄養学に基づいて開発されており、必要な栄養バランスが考慮されています。

通常のフードにサプリを追加するよりもコスパが良い場合もあります。愛犬の状態に合わせて、獣医師と相談しながら最適なものを選んでくださいね。小型犬なら少量で済むので、意外と経済的負担は軽いかもしれません。
🐶 体重 🧬 最低必要タンパク質量(1日)
2kg 約5.2g
5kg 約13g
10kg 約26g
20kg 約52g
30kg 約78g
※これは「最低ライン」の目安。市販フードはだいたいこの基準を満たして作られています。


療法食の切り替え時の注意

今までのフードから肝臓サポート食に切り替える時は、急に変えるのではなく、1~2週間かけてゆっくりと移行しましょう。最初は今までのフードに少量混ぜ、徐々に比率を増やしていくのがコツです。下痢や軟便が見られたら、切り替えスピードをさらに遅くします。

どうしても新しいフードを食べてくれない場合は、人肌程度に温めたり、無塩の鶏ガラスープを少量かけたりすると食いつきが良くなることもあります。ただし、風味付けのためのトッピングは最小限に抑え、肝臓に負担をかけないようにしましょう。

おすすめサプリメント

療法食だけでは補いきれない栄養をサプリメントで補給するのも効果的です。特に以下の成分が含まれたサプリがおすすめです。
・SAMe(サミー):肝細胞の修復を助ける成分で、獣医師も推奨
・ミルクシスル(マリアアザミ):肝臓の解毒作用をサポート
・オメガ3脂肪酸:炎症を抑え、肝機能を改善
・L-カルニチン:脂肪代謝を促進し、脂肪肝を防ぐ
・ビタミンE:抗酸化作用で肝細胞を保護

サプリ選びで迷った時は、これらの成分がバランスよく配合された総合サプリが便利です。ただし、サプリメントはあくまで補助的なものです。まずは基本の食事を見直し、その上で必要に応じてサプリを取り入れるようにしましょう。

肝臓がデリケートな犬種3選

シーズー・プードル

シーズーは遺伝的に肝臓シャントのリスクが高く、若齢期から注意が必要です。肝臓シャントは、毒素が体中を巡ってしまう病気で、成長不良や神経症状を引き起こします。

ベドリントン・テリア

銅蓄積性肝障害という特殊な肝臓病に注意が必要な犬種です。銅の代謝がうまくいかず、肝臓に銅が蓄積してしまいます。この犬種を飼っているなら、銅含有量の少ない特別な食事管理が欠かせません。

ダックスフンド・コッカー・スパニエル

ぽっちゃり体型が可愛いと思っていても、これらの犬種は脂肪肝になりやすい傾向があります。特に中年期以降は、肝臓数値の定期的なチェックが大切です。

肝臓の健康をサポートするおすすめメニュー

鶏ささみとブロッコリーのヘルシーボウル

肝臓に優しい食事の基本は、低脂肪・高タンパクで消化しやすい食材を選ぶことです。

このメニューでは、鶏ささみをメインに、栄養豊富なブロッコリーとカボチャを組み合わせています。ブロッコリーには抗酸化作用があり、カボチャにはβカロテンが豊富なので、肝臓の健康維持にぴったり。また、玄米を加えることでエネルギー補給にもなり、体に優しいバランスの取れた一皿になります。

鶏ささみは茹でてほぐし、野菜も柔らかくなるまで火を通し、食べやすい大きさにカット。すべてを混ぜ合わせれば、肝臓をサポートしながら美味しく食べられるヘルシーボウルの完成です。

白身魚とサツマイモのやさしいスープ

消化が良く、肝臓に優しい食事としておすすめなのが、白身魚とサツマイモのスープです。
タラやヒラメなどの白身魚は脂肪分が少なく、良質なタンパク質が豊富です。また、サツマイモはエネルギー補給に最適で、食物繊維が腸内環境を整えてくれます。

作り方は簡単で、白身魚とサツマイモをやわらかく煮込み、最後に少し崩して食べやすくするだけで済ませます。

スープ仕立てにすることで、水分補給にもなり、シニア犬や食欲が落ちている犬にもおすすめのメニューです。肝臓の負担を減らしつつ、栄養をしっかり摂れる一品なので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

豆腐と野菜のヘルシーリゾット

肝臓に優しい食事には、低脂肪で消化しやすいタンパク質が重要です。そこで、豆腐を使ったリゾットは、肝臓への負担を抑えつつ、栄養バランスを整えられるおすすめメニューです。

豆腐は消化吸収が良く、胃腸にも優しい食材です。そこに、ニンジンやカボチャ、ブロッコリーなどの野菜を加え、肝臓をサポートするビタミンをプラス。玄米やオートミールを煮込んで、やわらかく仕上げることで、食べやすさもアップします。

温かいリゾットは、寒い季節や食欲が落ちたときにもぴったりです。愛犬の健康を考えたやさしい一皿を、ぜひ試してみてくださいね。

よくある質問

Q:犬の肝臓が悪いとき、食べさせちゃダメなものってあるの?

はい、あります。脂っこい食べ物や塩分が多いもの、生の肉や魚は肝臓に負担をかけやすいので避けましょう。
特にジャーキーや味付きの人間用食品はNGです。肝臓が弱っているときは、やさしい食材を選んでくださいね。

Q:ささみって、肝臓の悪い犬にもあげても大丈夫?

はい、基本的には大丈夫です。ささみは脂肪が少なくて高たんぱくなので、肝臓に優しい食材のひとつです。ただし、茹でて脂を落とし、味付けなしで与えるのがポイントです。量は少なめに、様子を見ながらにしましょう。

Q:肝臓の数値が高いって言われたけど、どんな食べ物で下がるの?

肝臓の負担を減らすには、低脂肪・高品質なたんぱく質の食事がおすすめです。白身魚、豆腐、かぼちゃ、ブロッコリーなど、消化がよくて栄養豊富な食材が良いです。お水をしっかり飲ませるのも大事なので、水分の多いごはんもいいですよ。

まとめ

肝臓ケアには低脂肪・高品質なたんぱく質が基本!白身魚や鶏ささみなどのOK食材を活用し、脂っこいものや塩分は避けましょう。市販の肝臓サポート療法食や手作りごはんで負担を軽減できます。サプリメントを併用するならSAMeやミルクシスル成分がおすすめです。毎日の食事で愛犬の肝臓を優しく守ってあげましょう!
PETTENA編集部

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