PETTENA編集部は、ペットとその飼い主がより良い生活を送れるよう、専門的な知識に基づいた信頼性のある情報を提供するチームです。特に、ペットカートを中心に、安全で楽しいお出かけをサポートするコンテンツをお届けしています。
犬が水をよく飲むのは病気のサイン?多飲の判断基準と正しい対処法を解説|PETTENA
あれ?最近ウチの子、水をガブガブ飲みすぎじゃない…その変化、もしかしたら危険サインかもしれません。暑いから?ストレス?それとも…実は怖い病気の前兆?犬の「水飲みすぎ」に隠された真実を、たった3秒でできる簡単チェック法から、絶対にやってはいけないNG行動まで、わかりやすく解説します。
犬の適正な飲水量ってどれくらい?
犬の適正な飲水量の目安
犬の1日の適正な飲水量は、体重1kgあたり50~60mlが一般的な目安です。例えば5kgの小型犬なら250~300ml、10kgの中型犬なら500~600ml程度になります。ただし、この数字はあくまで目安で、季節や運動量、フードの種類によっても変わってきます。
犬の飲水量を測る方法
毎日きちんと計るのは大変…と感じる飼い主さんには、2~3日分の水を計量カップで測っておき、減り具合をチェックする方法がおすすめです。また、水飲みボウルにマジックで目盛りを書いておくのも簡単で便利ですね。最近では、給水量を自動で記録してくれるスマートウォーターボウルも販売されています。
水をたくさん飲む原因とは?
夏場の暑い日やお散歩後の運動後は、人間と同じように犬も体温調節のために多くの水分を必要とします。特にアスファルトの照り返しがきつい日や、湿度の高い日は要注意。犬がハアハアと息を切らしながら水をガブガブ飲む姿を見かけたら、涼しい場所で休ませてあげてくださいね。
フードの種類が変わった場合も飲水量に影響します。ウェットフードからドライフードに切り替えた場合、フード自体の水分量が減るため、自然と水を飲む量が増えるんです。逆にウェットフードを与えている場合は、フードから水分を摂取している分、水飲み場に行く回数が少なくなることもあります。フード変更後2~3日は特に飲水量の変化に注目しましょう。
人間の食べ物や塩分の多いおやつを食べた後も、喉が渇きやすくなります。ジャーキーや犬用クッキーなどを与えすぎた日は、いつもより多めに水を飲む傾向があります。塩分過多は腎臓にも負担をかけるので、おやつの量には注意が必要です。
意外に思われるかもしれませんが、ストレスや興奮状態も飲水量を増やす原因になります。引っ越しで環境が変わった、新しい家族が増えた、雷や花火の音に驚いたなど、愛犬にとってストレスフルな状況では、不安から水を飲みすぎることがあるんです。特に神経質な性格の子やシニア犬は影響を受けやすいので、生活環境の変化があった時期の飲水量は要チェックです。
一時的な要因の場合は、原因を取り除けば自然と飲水量も落ち着いてくるはずです。ただし、特に理由もなく2~3日以上飲水量が増え続ける場合や、多飲とともに食欲不振や元気消失などの症状が見られる場合は、早めに動物病院に相談することをおすすめします。
病気が原因の場合に多い「多飲多尿」
特に理由もないのに水を飲む量が増えたり、おしっこの回数も増えていたりする場合は、病気のサインかもしれません。犬がたくさん飲んでたくさん出すのは、以下のような病気の初期症状として現れることがあります。

クッシング症候群
ホルモンバランスの乱れが原因で、のどが渇きやすくなります。左右対称の脱毛やお腹が膨れるなどの症状もあります。シニア犬に多い病気で、血液検査で診断します。
慢性腎不全
腎臓の機能が低下し、尿を濃縮できなくなるため、薄い尿を大量にするようになります。食欲不振や体重減少を伴うこともあります。早期発見が肝心で、定期的な血液検査が有効です。
子宮蓄膿症
子宮内に膿がたまる病気で、発熱や元気消失などの症状もあります。緊急を要する状態で、避妊手術が予防に繋がります。
尿崩症
抗利尿ホルモンの異常で、非常に薄い尿が大量に出ます。いくら飲んでも脱水症状になることもあります。特殊な検査が必要ですが、適切な治療で管理可能です。
糖尿病
糖をうまく利用できなくなり、尿と一緒に糖と水分が排出されます。食欲はあるのに体重が減るのが特徴で、インスリン治療が必要になることもあります。
特にシニア犬の場合は、定期的な健康診断でこれらの病気を早期発見することが大切です。
「多飲多尿」のサインとは?
飲水量の変化
いつもなら1日に1回補充すれば十分だった水ボウルが、最近では朝晩2回補充しないと足りなくなった、というような変化は分かりやすい目安になります。
特に注意深く観察したいのは、これまで夜中に起きて水を飲む習慣がなかったのに、最近は深夜や明け方に何度も水を飲みに起きるようになった場合。こうした変化は、体の内部で何か異常が起きている可能性が考えられます。
排尿回数や量の変化
お散歩の時に、これまで1~2回で済んでいたおしっこが、突然4~5回もするようになったり、1回の量が明らかに増えていると感じたら要注意です。室内でトイレシートを使っている場合、以前は1日2~3枚で済んでいたのが、最近は倍近く必要になった、というのも分かりやすいサインです。
尿の状態もチェックポイントで、色が薄くて水っぽい、あるいは逆に濃すぎるなど、普段と違う状態が続く場合は注意が必要です。
他の症状
ご飯はしっかり食べているのに体重が減ってきている場合、糖尿病の可能性が考えられます。毛艶が悪くなり、被毛がパサついてきたら腎臓病のサインかもしれません。また、お腹がぽっこりと膨らんできたように見える場合は、クッシング症候群などのホルモン疾患が疑われます。
これらの変化は、どれか1つだけではなく、複数の症状が重なって現れることが多いものです。「水をよく飲むようになった」だけでなく、「それに加えて◯◯も気になる」という場合には、できるだけ早くかかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。
日常でできる観察と記録のコツ
飲水記録のつけ方
朝起きたら500mlの水をきれいなボウルに入れ、夕方帰宅した時に残量をチェックする方法がおすすめです。300ml残っていたら、200ml飲んだと計算できます。
もっと正確に測りたい場合は、デジタルキッチンスケールを使って水容器ごと重さを量ると良いでしょう。容器の重さを引けば、飲んだ量が正確に分かります。
アプリや紙の記録テンプレートの紹介
記録の方法は、スマートフォンアプリを活用するのが現代風で便利です。「ペットノート」や「ペット健康日記」といった専用アプリなら、飲水量だけでなく、食欲や排泄の状態も一緒に記録できます。特に便利なのは、写真付きで記録できるアプリです。
アプリの利用に慣れていない飼い主さんには、冷蔵庫に貼れるペット用健康記録シートがおすすめです。市販のものもありますが、インターネットで無料のテンプレートをダウンロードして印刷することもできます。かわいいデザインのものなら、記録するのが楽しくなりますよ。
「うちの子メモ」で異常に早く気づける
「今日は猛暑日だったから多めに飲んだ」「新しいフードに変えたら飲水量が増えた」といった情報は、後で振り返った時に大きなヒントになります。ノートやカレンダーの余白にさっと書き留めるだけでも構いません。
記録を続けるコツは、完璧を求めすぎないことです。毎日細かく記録できなくても、週に2~3日でも継続すれば、愛犬の「平常時」のパターンが分かってきます。
特に、シニア期に入った愛犬や持病のある子の場合は、こうした記録が病気の早期発見に役立つことがあります。
年齢・持病別にみる多飲対処法
シニア犬は要注意
7歳を過ぎたら、加齢に伴う臓器機能の低下に注意が必要です。腎臓の機能が落ちてくるため、自然と飲水量が増える傾向があります。ただし、急激な変化は病気のサインかもしれないので、3ヶ月に1回の健康診断がおすすめ。
持病持ちの犬
心臓病の子は利尿剤で尿量が増えることがあります。獣医師の指示通りに水分管理を。腎臓病の子は、適切な水分摂取が治療の一環です。新鮮な水を常に用意し、時々ウェットフードで水分補給を。ホルモン疾患(甲状腺機能低下症など)の子は、薬の影響で飲水量が変わることも。
通院中の子の水分コントロール
治療中で特別な水分制限が必要な場合は、計量カップで正確に管理します。1日の適量を何回かに分けて与え、夜間の多飲を防ぎましょう。どうしても水を欲しがる時は、氷を少し舐めさせるなどの工夫を。
季節や環境による飲水量の変化と対策
夏場の対策
夏は熱中症予防のため、いつもの1.5倍程度の水を用意しましょう。ただし、飲みすぎによる水中毒(低ナトリウム血症)にも注意。お散歩前後は特に水分補給を心がけ、冷却マットや涼しい場所を確保して。
冬場の工夫
寒いと水を飲まなくなる子も。ぬるま湯にしたり、室温の水をこまめに交換したりしましょう。加湿器で適度な湿度を保つと、のどの渇きを感じやすくなります。
エアコン使用時の注意
エアコンで乾燥すると、知らず知らずのうちに脱水が進みます。24時間新鮮な水を用意し、水飲み場を複数設置するのが理想。特に老犬は自分で水を探せないこともあるので、寝床の近くにも置いてあげて。
水の置き場所の工夫
🐕静かで落ち着ける場所に設置
🐕食器スタンドで首への負担を軽減
🐕陶器製のボウルは夏場も水温が上がりにくい
🐕外出時は自動給水器や保冷水筒を活用
🐕食器スタンドで首への負担を軽減
🐕陶器製のボウルは夏場も水温が上がりにくい
🐕外出時は自動給水器や保冷水筒を活用
飼い主がやってはいけないこと
急に水を制限するのはNG
腎臓病や糖尿病の場合、脱水症状を引き起こす危険性があります。水を制限する必要があるのは、尿崩症などごく一部の病気だけです。獣医師の指示がない限り、新鮮な水はいつでも飲める状態にしておきましょう。
自己判断で薬を与えない
自己判断で人間用の薬やサプリメントを与えるのも危険です。「糖尿病かも」とネットで調べて、血糖降下薬を与えるなどは絶対にやめてください。特にメトフォルミンなどの人間用糖尿病薬は犬にとって毒性がある場合があります。持病で薬を服用している場合は、必ず獣医師に相談してからにしましょう。
水道水やミネラルウォーターの注意点
水道水は基本的に問題ありませんが、硬水のミネラルウォーターは尿路結石のリスクを高める可能性があります。また、塩分調整のためにスポーツドリンクを与えるのも、糖分が多く逆効果になることがあります。
SNSの情報を鵜呑みにしない
SNSやネットの情報をそのまま信じ込むのも危険です。「この症状は絶対にこの病気」といった断定表現には要注意。同じ症状でも、年齢や犬種によって原因が異なることがよくあります。気になる情報を見つけたら、必ずかかりつけの獣医師に確認する習慣をつけましょう。
「すぐ病院に行くべきか?」迷った時の判断基準
多飲多尿に気づいた時、すぐに病院に行くべきか迷うこともありますよね。以下のようなサインが見られたら、48時間以内の受診をおすすめします。
🐕1日に体重1kgあたり100ml以上の水を飲んでいる
🐕夜中に3回以上水を飲みに起きる
🐕おしっこの色が極端に薄い、または逆に濃い
🐕食欲があるのに体重が減っている
🐕元気がなく、ぐったりしている
🐕夜中に3回以上水を飲みに起きる
🐕おしっこの色が極端に薄い、または逆に濃い
🐕食欲があるのに体重が減っている
🐕元気がなく、ぐったりしている
特にシニア犬の場合、些細な変化でも早めの受診が肝心です。
判断に迷った時は、まずは落ち着いて「いつから」「どの程度」変化があったかをメモしましょう。スマホで愛犬が水を飲む様子や尿の状態を動画に撮っておくと、診察時に役立ちます。また、かかりつけの病院に電話で相談するのも一つの方法です。
よくある質問
Q:犬が水をたくさん飲むのは病気のサインですか?
いつもより明らかに水を飲む量が増えている場合、体調の変化が関係していることがあります。糖尿病や腎臓病、ホルモンの病気(クッシング症候群など)が原因の場合もあるため、気になるときは早めに動物病院で相談してみましょう。
Q:犬は1日にどれくらい水を飲むのが普通ですか?
一般的には、体重1kgあたりおよそ50〜60mlの水分が目安とされています。たとえば体重5kgの犬なら1日に約250〜300mlほどです。ただし、運動量や気温、食事(ドライフードorウェット)によっても変わります。
Q:シニア犬が水をよく飲むようになったけど、大丈夫?
年齢とともに水を飲む量が増えることもありますが、腎臓や内分泌系の病気が関係している可能性もあります。特におしっこの量も増えている場合は、早めに健康チェックを受けることをおすすめします。
まとめ
愛犬の水の飲みすぎは「たかが水分」と見過ごさず、まずは3日間の飲水量を計測しましょう。体重1kgあたり100ml/日以上なら要注意!特にシニア犬の場合は、糖尿病や腎臓病の早期発見が命を救います。記録を取って獣医師に相談するのが、賢い飼い主の第一歩。愛犬の「いつもと違う」を見逃さない観察眼が、健康長寿の秘訣です。